フェイスブックの暗号資産を「ディエム」に名称変更しサービス開始準備

(スイス、米国)

ジュネーブ発

2020年12月09日

米国フェイスブックが主導する暗号資産「リブラ」の管理団体リブラ協会(本拠地:スイス・ジュネーブ)は12月1日に、暗号資産と団体の名称を「ディエム(Diem)」に変更し、経営体制を強化したことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

イスラエル出身のコンピュータ技術者のデヒア・マルキ氏を最高技術責任者(CTO)に、カナダのブリティッシュ・コロンビア州知事経験があるクリスティ・クラーク氏を人事責任者に、米国の国土安全保障省ジェネラル・カウンシルの経験があるスティーブ・ブンネル氏を最高法務責任者(CLO)に、米国セールスフォース出身のキラン・ラジ氏を成長・イノベーション担当上席副社長兼副ジェネラル・カウンシルに任命した。

ディエムによれば、2020年4月にスイス金融市場監督庁(FINMA)に暗号資産を用いた決済サービスの許可申請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行っており、現在も申請プロセスを建設的に進めているとしている。また、発行する暗号資産は単一法定通貨(ドル、ユーロ、ポンドなど)と連動するものを優先するとしている。

フェイスブックが提唱する暗号資産については、2019年10月に管理団体の発足にこぎつけたものの、フェイスブックのプライバシー保護体制や各通貨当局の通貨主権に抵触しかねないことから、各国が懸念を表明していた(2019年10月14日記事参照)。これに対し、2020年11月27日付の「フィナンシャル・タイムズ」紙などの報道によると、ディエムは早ければ2021年1月にも、FINMAの許可を取得次第、ドルと連動する暗号資産の発行を開始する意向とのことだ。懸念が示されている、複数通貨バスケット連動の暗号資産を先送りし、範囲を縮小した新名称でのサービスを先に投入することで、各規制当局の反発を避ける狙いがあるとみられる。

(和田恭)

(スイス、米国)

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