欧州農業・食品業界、EU・英国の最終交渉を前に緊急要望を発表
(EU、英国、米国)
ブリュッセル発
2020年12月14日
英国のEU離脱(ブレグジット)に伴うEUと英国の将来関係について、首脳会談による決着を図るべく交渉が続く中(2020年12月8日記事参照)、欧州の食品・飲料事業者の団体フード・ドリンク・ヨーロッパは12月9日、欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体COPA-COGECAなど3団体とともに声明を発表した。
まず、農業・食品産業部門の雇用の維持を最優先に掲げた。また、EUと英国に対して、関税や関税割り当てのない協定の締結や、衛生植物検疫措置や貿易の技術的な障害など、関連規則の内容をできるだけ調整することを求めた。
さらに、緊急要望として次の5項目を挙げた。
- EU・英国間の貿易ルールを速やかに明らかにすること。
- 英国の単一市場、関税同盟からの離脱により、関税の復活などによる混乱が予想される。他の産業部門より大きな影響を受けると思われる農業・食品部門に対し、円滑な移行に向けた支援措置や、7月に欧州理事会で合意した「ブレグジット調整準備金」からの支援を行うこと。
- 企業が新たなルールを理解し、事業計画を立てることができるように、公的機関より速やかに、かつ効果的な情報周知のキャンペーンを行うこと。
- 労働者の権利の保護、雇用維持のための企業支援を行うこと。
- 移行期間終了後の2021年1月1日以降、緊急事態などに対応するため、欧州委員会、英国政府、関係者間の対話を定期的に行うこと。
米国との報復関税応酬の終結も求める
また、フード・ドリンク・ヨーロッパは同日、食品メーカーなどが会員になっている米国の消費者ブランド協会(Consumer Brands Association)とも共同声明を発表した。EUと米国が大型航空機への補助金をめぐる紛争により、2019年10月以降、一部の農産品について、互いに報復関税を課している(2020年10月15日記事、2020年11月10日記事参照)ことに大きな懸念を示し、交渉による紛争の解決と全ての報復関税の撤廃を求めた。
(滝澤祥子)
(EU、英国、米国)
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