感染拡大止まらず、経済活動制限を延長、連休の短縮も

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年12月08日

新型コロナウイルスの感染拡大が続くインドネシアで、首都圏の州政府が、職場や飲食店などの活動を制限する「大規模社会制限(PSBB)」を相次いで延長した。ジャカルタ特別州は12月6日、同州で実施する「PSBB移行期間」(2020年10月13日記事参照)を12月20日まで延長すると発表、それに先立って、西ジャワ州政府も11月26日、首都ジャカルタ近郊のボゴール県・市、デポック市、ブカシ県・市の5自治体でPSBBを12月23日まで延長した。同様に、バンテン州も12月19日まで延長した。

年末の連休を一部削減、感染者急増を防止できるか

さらに、インドネシア中央政府は12月1日、12月28日から30日までを平日と定め、当初奨励していた11連休(12月24日~2021年1月3日)を2回の4連休(12月24~27日および12月31日~1月3日)に短縮・分散させる措置を取った。当初12月28~30日は、国民に有給休暇の取得を促すために政府が指定する「有給休暇取得奨励日」で、休業を予定する会社も多かった。連休を短縮することで、人々の移動を減らし、感染拡大を防止する狙いがある。5月と8月には連休後に感染者数の増加がみられており、今回の措置で年末年始の感染者急増を防ぐことができるか注目される。

ガジャマダ大学の疫学者であるバユ・サトリア・ウィラタマ氏は、今回の措置に関し、「長期休暇を削減しても人々を家にとどまらせる効果は低く、感染防止に効果的とはいえない」との見方を示した。加えて、新型コロナウイルスの感染リスクが高いプールやホテルなどの屋内観光施設では、感染予防対策を強化すべきとの見解を示した(「ジャカルタ・ポスト」紙12月2日)。

インドネシアは、東南アジアで累積感染者数、死者数がともに最も多く、12月6日時点で累計感染者数57万5,796人、死者数1万7,740人となっている。12月3日には、1日当たり新規感染者数が8,000人を突破し、過去最多となるなど、ジャワ島を中心に感染が拡大している。感染者は31歳から45歳までが最も多く、全体の約3割を占める一方、死者は46歳以上が全体の約75%を占めている(インドネシア保健省)。また、各都市での病床使用率も上昇しており、ジョグジャカルタ特別州では95%、デポック市では81%に達している(「ジャカルタ・ポスト」紙12月1日、CNNインドネシア12月2日)。

(尾崎航)

(インドネシア)

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