11月の貿易収支は引き続き黒字、前年同月比では輸入が大幅減

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年12月25日

インドネシア中央統計庁(BPS)が12月16日に発表した11月の貿易統計によると、前年同月比で輸出が増加する一方、輸入は減少した。前月比では輸出入ともに増加した。貿易収支は26億1,260万ドルの黒字だったものの、黒字額は前月から26.9%減少した。

前年同月比の貿易額を品目別にみると、輸出は9.5%増、輸入は17.5%減となり、輸入額の落ち込みが引き続き著しい(添付資料表参照)。輸出では、原油が約7割、動物性油脂が約4割、それぞれ増加したことに加え、鉄鋼も倍増した。輸入では、ガス、光学・写真・映画・医療機器や食品産業のかすを除いて減少。一方、前月比でみると、輸出は6.4%増、輸入は17.4%増だった。前月比の輸入は機械類(8.3%増)、電気機器(23.8%増)、光学・写真・映画・医療機器(56.1%増)などで増加した。

相手国別の輸出額(非石油・ガス)では、中国(37.3%増)とマレーシア(34.5%増)が大きく増加した。米国向け、日本向けは1桁台の増加率にとどまっている。一方、インド(8.3%減)とシンガポール(18.8%減)が減少した。輸入額はインドを除く全ての主要国で前年同月を下回った。最大の貿易相手国の中国が7.2%減の38億9,100万ドルにとどまり、日本(22.4%減)、シンガポール(26.4%減)、米国(1.2%減)ともに減少した。ただし、前月比では中国、日本からの輸入はそれぞれ3割以上増加した。

アグス・スパルマント商業相は、11月の貿易黒字は10月のような輸入の落ち込みが要因ではなく、非石油・ガスの輸出増加が要因だと強調した。また、中国からの輸入が増加したことに触れ、「中国は他国と比べ経済回復が早かったため、インドネシア製品の主な調達国になっている」とした(「インベスター・デーリー」紙12月17日)。一方、インドネシア経済・金融開発研究所(INDEF)のエコノミストのアフマド・エラニ・ユスティカ氏は、11月の貿易黒字は想定されていた範囲内としつつも、前年同月比で原材料・副資材および資本財の輸入が約20%減少したことを指摘し、「生産能力の減少につながり、内需や経済回復に影響を与える可能性があるため、注意が必要だ」との考えを示した(CNBCインドネシア12月15日)。

(デシ-・トリスナワティ、尾崎航)

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