ダイムラー、燃料電池トラック用充填技術を産業ガス大手リンデと共同開発へ

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年12月25日

ドイツ自動車大手ダイムラーの子会社であるダイムラー・トラックは12月10日、産業ガス大手のリンデと、燃料電池トラック用の次世代液体燃料充填(じゅんてん)技術を共同開発する契約を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたと発表した。

共同開発の主眼は、液体水素を扱うための「sLH2技術」と呼ばれる技術。この技術によって、他の技術に比べ、(1)高い貯蔵密度とそれによって実現される長い航続距離、(2)充填時間の短縮、(3)高いエネルギー効率が得られるという。高い貯蔵性により車体に搭載する水素用タンクを小型化・軽量化でき、トラックの積荷スペースと最大積載量の拡大に寄与、航続距離も伸びる。また、ダイムラー・トラックは、同社が取り組む新充填システムではより簡易な充填が可能となるとしている。

ダイムラー・トラックとリンデは2023年をめどに、ドイツ国内における新技術による充填ステーションの実験施設の稼働を目指す。新充填方式は、ダイムラー・トラックが2020年9月に発表した「GenH2トラック」のシリーズの燃料充填に対応するよう実用化される見込み。「GenH2トラック」は次世代燃料電池トラックのコンセプト車両で、1回の充填で1,000キロ、またはそれ以上の走行が可能となる見込み。ダイムラー・トラックは「GenH2トラック」について、2023年に顧客によるテスト走行、2025年以降のシリーズ生産を予定する。

両社は共同開発する技術を可能な限り公開していく。他企業が新充填システムの技術を自社の充填・車両技術に活用することで、新システムがデファクトスタンダードになることを目指す。なお、同社は現在、液体燃料をトラック車体に積載するのに必要なタンクシステム技術を開発中だという。

ドイツ交通・デジタルインフラ省(BMVI)によると、交通・運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出量の約3割がトラックなど重量物輸送による。BMVIは「商用車会議」を開催するなどして、低排出商用車の導入促進に向けた政策案を提示している(2020年11月11日記事参照)。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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