連邦政府、デジタルトランスフォーメーション部局を設立へ

(スイス)

ジュネーブ発

2020年12月03日

スイス連邦参事会(内閣)は11月25日、政府のデジタルトランスフォーメーションと情報通信技術(ICT)ガバナンスの推進を目的とする政府内組織の改編に当たり、これまでの「IT推進政令(OIAF)」を「デジタルトランスフォーメーションおよびITガバナンス政令(OTNI)」に刷新することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。主な内容は以下のとおり。

  • 連邦内閣事務総局に、デジタル化のガイドライン策定および各省庁の支援、ITプロジェクトの実施を担う課(TNI課)を新設。2021年1月1日から活動を開始する。
  • 連邦参事会内に、財務相、経済・教育・研究相、内務相・連邦事務総長で構成される「デジタル化およびICT委員会」を新たに設置。これまでOIAFに基づき設置されていた各府省調整組織「連邦IT運営局」は廃止される。TNI課は「デジタル化およびICT委員会」の事務局を務める。
  • 州や地方自治体との連携を強化するため、「スイス・デジタル・アドミニストレーション」を設置。同組織と国家サイバーセキュリティセンターの事務局は財務省に置かれる(財務省は民間IT政策を担当)。

この発表により、2020年4月3日に発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされていた、デジタル化推進に向けた組織改編の方向性が具体化されたことになる。なお、今回のデジタル化推進部局の改編に際しては、民間のデジタル化政策「デジタルスイス」(連邦通信局担当)や電子政府の推進・開発組織「GEVER」(連邦内閣事務総局担当)などのリソースの一部が活用される予定で、予算の増額はない。

また、連邦参事会は同11月25日、組織改編とは別に、データ管理の簡素化と効率化を目的に、政府が保有するデジタルデータの活用について、行政組織間の相互利用を容易にすることで、政府に提出された同種データの再提出を求めない「ワンス・オンリー(提出は一度のみ)」の原則の実現可能性を検証するため、2019年9月から政府が実施していた「国家データ管理プログラム」の成果報告書を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回、公表されたのは、以下4つのプロジェクト。

  • 民間ビジネスの活動状況に関するデータ(担当:内務省統計局)
  • 雇用者の賃金データ(担当:内務省統計局、経済・教育・研究省、財務省)
  • 税務データ(担当:内務省統計局、財務省)
  • データ再利用のための責任範囲と手続き(担当:連邦内閣事務総局、財務省、内務省統計局)

(和田恭)

(スイス)

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