初の製油所が稼働開始、中国との合弁事業

(ラオス、中国)

ビエンチャン発

2020年12月10日

ラオスの首都ビエンチャン郊外に位置する経済特区のサイセター総合開発区で11月30日、同国初となる製油所が稼働を開始した。中国・ラオス両国の国営企業の合弁事業として2015年から建設が進められていたものだ。建設総予算は約20億ドルに上り、出資比率は中国の雲南東岩実業が75%、ラオス燃料公社が20%、ラオス・中国合資会社が5%となっている。28万平方メートル以上の敷地面積を有する同製油所は年100万トンの処理能力を持ち、ガソリンやディーゼル、液化石油ガスなどの石油製品の生産を行う(ラオス国営通信KPL11月25日)。

稼働開始日に製油所で行われた式典には、両国の政府高官も出席し、ラオスのケムマニー商工相は、同製油所がもたらすラオスの燃料供給の安定化や大規模な雇用機会の創出への期待を語った(KPL11月30日)。また、式典に出席した日系エネルギー関連企業のラオス現地法人関係者はジェトロの取材に対し、「製油所の稼働により、ラオスで良質、安価な石油製品の安定供給が実現すれば、ラオスの石油製品業界の市場拡大や、税制・安全面での公正な競争の創出につながる」とコメントした。

ラオスでは、国内初の高速鉄道のラオス・中国鉄道や、同じく初の高速道路の建設など、近年、中国企業や中国・ラオス間の合弁企業による大型のインフラ投資が相次いでいる(2017年5月18日記事2019年3月11日記事参照)。今回稼働した製油所が位置するサイセター総合開発区もその例外ではなく、この経済特区は中国の「一帯一路」政策の一環として、中国の雲南省海外投資とビエンチャン都政府の共同出資によって建設、運営されている。総合開発区は今後、貸し工場や工業用地の提供のみでなく、大規模な住居やショッピングモールなども整備することで、ビエンチャンの新たな生活、観光の中心地となることを目指す「ビエンチャン新都市構想」を掲げている(サイセター総合開発区ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

写真 稼働を開始した製油所(サイセターオペレーションマネジメント提供)

稼働を開始した製油所(サイセターオペレーションマネジメント提供)

(岡田脩太郎)

(ラオス、中国)

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