2020年のGDP成長率、マイナス3.3%に上方修正

(スイス)

ジュネーブ発

2020年12月21日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は12月15日、2020年の実質GDP成長率をマイナス3.3%、2021年を3.0%、2022年を3.1%とする予測を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(添付資料表参照)。

2020年秋から冬にかけての新型コロナウイルス感染の第2波は、特に欧州で経済成長を大きく減速させ、スイスの同年第4四半期(10~12月)のGDPも減少する見込みだが、第1波の時ほど厳格な活動制限措置が取られなかったことから、経済への影響は限定的になるとした。また、第1~3四半期(1~9月)についても、事前の予測よりも影響が少なかったことから、2020年通年の実質GDP成長率をマイナス3.3%と、前回10月予測のマイナス3.8%から上方修正した。とはいえ、1975年以来最も低い成長率だ。

2021年初めはまだ第2波の影響が及ぶことから、経済回復が遅れると見込み、2021年のGDP成長率を前回10月予測の3.8%から3.0%へ下方修正した。2021年は、ワクチンの幅広い供給などによって春から衛生状況が平常化し、年末には「新型コロナ危機」以前の水準まで経済が力強く回復するシナリオを前提としている。民間最終消費支出と設備投資が活性化し、世界経済の回復に伴って輸出も回復すると見込む。

2022年には景気回復がさらに進み、海外からの観光客受け入れを含めて最も深刻な打撃を受けた部門なども、新型コロナ危機をようやく脱し、GDP成長率は3.1%、失業率は年平均3.0%になると予測する。

連邦経済事務局は、経済的不確実性は依然として高く、最大の不確実性は新型コロナウイルス感染拡大の状況とそれに対する経済と政治の対応の仕方によるとした。感染拡大の第2波によるマイナスの影響が予想を下回り、ワクチンが早く供給され、制限措置が不要となれば、経済が急速に回復する可能性がある。他方、感染拡大がさらに深刻になれば、国内外でより厳格な制限措置が講じられ、大規模な人員削減や企業倒産、政府や企業による債務拡大リスクが高まる恐れがある。また、貿易摩擦や英国とEUの自由貿易協定(FTA)交渉が決裂した場合、スイスの不動産市場で大幅な価格調整が進む点もリスクとして指摘した。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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