中銀、2020年の経済見通しを小幅引き上げ

(韓国)

ソウル発

2020年12月02日

韓国銀行(中央銀行)は11月26日に発表した「2020年経済展望報告書(11月)」で、2020年の実質GDP成長率見通しを前年比マイナス1.1%と、前回8月見通しのマイナス1.3%(2020年9月3日記事参照)から0.2ポイント引き上げた。輸出と設備投資の改善を受けて判断した。2021年の成長率見通しは3.0%と、前回予想(2.8%)から0.2ポイント引き上げた(添付資料表参照)。

韓国経済は新型コロナウイルスの影響による輸出減少で、上半期に急激に落ち込んだが、下半期に入り、半導体や自動車など外需の回復で回復基調に転じ、第3四半期(7~9月)の実質GDPは前期比1.9%増と3期ぶりにプラスに転じた。

韓国銀行は2021年の見通しについて、非対面活動の増加によるパソコンやサーバー向け需要の拡大により、半導体を中心にIT関連分野の設備投資と輸出の好調が続き、出遅れていた石油化学や造船、鉄鋼など非IT分野も回復が見込まれるとした。個人消費は新型コロナの再流行や所得の改善の遅れなどを受け、回復が遅れる見込みだ。

今回の上方修正の前提条件(基本シナリオ))として、同行は「世界の新型コロナウイルス感染は2021年半ば以降、徐々に収束に向かい、経済活動の再開で世界経済は2021年後半に新型コロナウイルス感染前の状態に回復する」としている。

韓国では11月下旬に新規感染者数が一時500人を上回るなど、「第3波」に見舞われており、12月から感染リスクの高い施設や業種の営業を禁止するなど、防疫対策を強化している。ワクチンや治療薬の供給が遅れると「悲観シナリオ」への変更を迫られる可能性もある。

(注)韓国銀行は5月見通し発表時から、経済活動の制限を伴う感染拡大防止策と経済回復への影響について、「Mild(楽観)、Base(基本)、Severe(悲観)」の3通りのシナリオに基づき、経済見通しを提示している。

〔諸一(ジェ・イル)、原実〕

(韓国)

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