韓国銀行、新型コロナ感染再拡大で経済成長見通しを下方修正

(韓国)

中国北アジア課

2020年09月03日

韓国銀行(中央銀行)は8月27日に発表した「2020年経済展望報告書(8月)」で、2020年の実質GDP成長率見通しを前年比マイナス1.3%と、前回5月見通しのマイナス0.2%(2020年5月29日記事参照)から1.1ポイント引き下げた。新型コロナウイルス感染の再拡大が消費の回復に影響するとしている。また、2021年の成長率は2.8%と、前回予想(3.1%)から0.3ポイント引き下げた。

5月発表の見通しでは、「世界の新型コロナウイルス感染は2020年第2四半期(4~6月)をピークに年後半には徐々に終息し、経済活動の制限措置も徐々に解除される」との基本シナリオ(注)を前提としていた。しかし、7月以降、世界の感染拡大ペースはむしろ加速した。韓国でも4月初め以降、1日当たり新規感染者数は2桁以下にほぼ収まっていたが、第2波が急拡大した8月半ば以降は一気に200~300人台に増加したため、経済見通しの下方修正を迫られた格好だ。

今回の見通しにおける基本シナリオでは、「世界の新型コロナウイルス感染の終息と経済活動再開の時期は2021年後半」とした一方、韓国については「最近の新型コロナウイルス第2波は冬前には終息する」としている。

韓国銀行は下方修正の要因として、「新型コロナウイルス感染の再拡大により所得環境の改善と消費意欲の回復が遅れることで、個人消費の回復ペースの鈍化が見込まれる。設備投資では、好調なIT関連投資が経済成長を下支えするものの、新型コロナウイルスの影響によるビジネス環境の悪化で低調が見込まれる」としている。

(注)韓国銀行は5月見通し発表時から、経済活動の制限を伴う感染拡大防止策と経済回復への影響について、「Mild(楽観)、Base(基本)、Severe(悲観)」の3通りのシナリオに基づき、経済見通しを提示している。

(原実)

(韓国)

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