UAEで「コーシャ」対応進む、ユダヤ教徒旅行客の受け入れに期待
(アラブ首長国連邦、イスラエル)
ドバイ発
2020年11月04日
アラブ首長国連邦(UAE)国営エミレーツ通信社(WAM)によると、アブダビ政府観光局は10月20日、全てのホテルとホテル内の飲食店に対し、ユダヤ教の戒律に則した「コーシャ」食品の選択肢を用意するように通達した。同局はUAEで設立されたコーシャ認定機関と協定を締結、アブダビのホテルは同機関による認証サービスを1年間無料で利用できる。主要な観光施設のエミレーツ・パレスはコーシャ食品の提供を開始した。
ドバイでは既に現地財閥アル・ハブトゥール・グループが市内の事業者と提携、系列ホテルのルームサービスなどでコーシャ食を提供しているほか、世界一高い超高層ビルのブルジュ・ハリファ内に立地するアルマーニ・ホテルで、コーシャ専門レストランがオープンしている。UAE現地紙では、世界中のユダヤ教徒による「コーシャ・トラベル」の需要を期待する声が紹介されている。
一方、UAEの日系食品輸入卸企業からは、現時点では飲食店の対応は限定的で「コーシャ認証食品は既に一部輸入しているが、今のところ、それを売りにすることは考えていない」と静観する声もあり、今後の普及の動向が注目される。
直行便就航に高まる期待
両国間は既に経由便での往来が可能だが、イスラエルのイズレール航空がドバイ直行便を12月2日から運航開始とあらためて発表した(注)。航空券を販売したところ「連日、数百件の新規予約があり、既に数千件の予約が入っている」状況、と報じられている。同社では12月から、アブダビ便も就航する予定、とも報じられた。またアルキア航空も、2021年1月3日からドバイ直行便を就航すると発表したが、航空券を販売するとすぐに「高い需要」があったとして、2020年内の12月20日に就航日を前倒しした。ただし、航空当局による最終認可待ちとして、日程が変更になる可能性にも言及している。
UAE側の航空各社の就航予定は明らかにされていないが、エティハド航空はヘブライ語の公式ウェブサイトを開設済みだ。両国民のビザ免除の協定も署名済みで(2020年10月23日記事参照)、本格的な旅行の開始に期待が高まっている。
(注)10月2日に就航開始と報じられていたが(2020年9月11日記事参照)、イスラエルで新型コロナウイルスの流行再拡大に伴うロックダウンが行われたことなども影響したためか、延期となっていた。
(田辺直紀、反町俊哉)
(アラブ首長国連邦、イスラエル)
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