「バイデン政権」誕生の場合の政策方向性

(米国)

米州課

2020年11月09日

米国で11月7日(現地時間)、大統領選挙における民主党候補のジョー・バイデン前副大統領の勝利確実が一斉に報じられた(2020年11月9日記事参照)。トランプ大統領は法廷闘争を続ける姿勢をみせており、今後の行方は予断を許さないが、バイデン政権が誕生した場合に想定される政策の方向性を、これまでの発表や民主党綱領、大統領候補者討論会などでの発言などから、以下のようにまとめた(詳細は添付資料参照)。

最優先事項は新型コロナウイルス対策

バイデン氏は、政権誕生後に最初に行う政策として新型コロナウイルス対策を挙げる。これは、11月9日にバイデン・ハリス陣営が立ち上げた「政権移行」ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにも明記されている。このほか、富裕層・大企業への増税、同盟国・友好国との協調を主張している点が、現トランプ政権と大きく異なる点だ。

環境政策では、パリ協定への復帰のほか、2050年までに排ガスをネットでゼロに、2035年までに発電での排ガスをゼロにすること、公共交通の整備、電気自動車の普及などを掲げている。

経済政策では、バイアメリカンの強化、製造業の強化、労働者保護の強化(労働組合強化、最低賃金引き上げ)などに取り組むとしており、税制では法人税増税(現行21%から28%に引き上げ)のほか、海外生産への懲罰税やメード・イン・アメリカ税控除など、製造業の国内回帰を促す制度を導入するとしている。

外交・通商面では、労働者のための通商政策を追求(執行力のある労働条項がなければ、新協定に署名しない姿勢)する。また、他の同盟国・友好国と協調して、中国など国際ルールに違反する国に対峙(たいじ)するとの姿勢を示す。対中政策については、中国による知的財産の窃盗や製造業の略奪、人権問題などには、断固として立ち向かうとして強硬な姿勢をみせるが、米国単独による関税戦争には頼らないとしている。

(藤井麻理)

(米国)

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