1~9月のタイへの外国直接投資、申請ベースで日本は首位を維持

(タイ)

バンコク発

2020年11月10日

タイ投資委員会(BOI)は11月4日、2020年1~9月の外国資本によるタイへの直接投資状況を公表した。

申請ベースでは、投資金額が前年同期比28.6%減の1,185億バーツ(約4,029億円、1バーツ=約3.4円)、投資件数が1.2%減の657件となった(添付資料表1参照)。投資金額を国・地域別にみると、日本が32.7%減の375億バーツと大幅に落ち込んだものの、全体の31.7%を占めて1~6月に続き首位を維持、中国も50.0%減の212億バーツと大幅に落ち込んだが、全体の17.9%を占め2位となった。

認可ベースでは、投資金額が前年同期比20.5%増の2,080億バーツ、投資件数が19.7%増の741件となった。投資金額を国・地域別にみると、中国が19.6%増の515億バーツで、全体の24.8%を占めて首位を維持し、日本は22.9%減の476億バーツで、全体の22.9%を占め、2位となった(添付資料表2参照)。中国の大型案件としては、建設用鉄鋼製品の製造(150億バーツ)、タイヤの製造(162億バーツ)があり、日本はバッテリー電気自動車の製造(55億バーツ)、ハードディスクドライブとその部品の製造(40億バーツ)、エアコンプレッサーの製造(19億バーツ)、プラグインハイブリッド自動車とその部品の製造(17億バーツ)などがあった。

特に、タイ政府が産業の高度化を目指す「タイランド4.0」においてターゲット産業とする10分野別の投資申請状況をみると、タイ資本も含めた投資金額ベースで、タイが重点投資誘致分野と位置付ける「新Sカーブ産業(注)」に分類される、1~6月に前年同期比で大きく伸びた医療(75.1%増、147億バーツ)が引き続き堅調だったほか、バイオテクノロジー(10.6%増、78億バーツ)は1~6月時点より大幅な増加となった(添付資料表3参照、1~6月は2020年8月14日記事参照)。

タイ資本も含めたターゲット産業への投資認可状況をみると、電気電子・エレクトロニクスが前年同期比2.5倍の468億バーツと金額、伸び率ともに首位となった。このほか、医療(33.7%増、134億バーツ)、自動車・同部品(19.8%増、518億バーツ)、農業・食品加工(10.7%増、240億バーツ)の伸びが目立った(添付資料表4参照)。

(注)タイ政府による用語で、ある産業が幼稚産業の段階から発展期を迎えてその後徐々に成熟してゆく様をアルファベットのS字になぞらえ、タイにおける新たな育成の対象となる産業を「新Sカーブ産業」としている。対象業種は医療、バイオテクノロジー、デジタル、航空、自動システム・ロボットの5分野。

(高谷浩一、トンワニッチャノッパクン・ニチャーパッタラ)

(タイ)

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