上半期のタイへの外国直接投資、申請ベースで日本が首位

(タイ)

バンコク発

2020年08月14日

タイ投資委員会(BOI)は8月10日、2020年上半期(1~6月)の外国資本によるタイへの直接投資状況を公表した(2020年5月20日記事参照)。

申請ベースでは、投資金額が前年同期比33.5%減の759億バーツ(約2,429億円、1バーツ=約3.2円)、投資件数が5.3%増の459件となった(添付資料表1参照)。第1四半期に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響で10億バーツ以上の大型案件が少なく、中小規模の投資案件が大半を占めている。投資金額を国・地域別にみると、日本が45.1%減の226億バーツと大幅に落ち込んだものの、全体の29.8%を占めて首位となり、中国が26.0%減の175億バーツで、全体の23.0%を占め2位となった。

認可ベースでは、投資金額が前年同期比41.5%増の1,607億バーツ、投資件数が26.5%増の535件となった。投資金額を国・地域別にみると、中国が3.3%減の354億バーツで、全体の22.0%を占めて首位を維持し、日本は17.7%増の344億バーツで、全体の21.4%を占め、僅差の2位となった(添付資料表2参照)。中国の大型案件としては、建設用鉄鋼製品の製造(161億バーツ)、タイヤの製造(79億バーツ)があり、日本はバッテリー電気自動車の製造(55億バーツ)、ハードディスクドライブとその部品の製造(40億バーツ)、エアコンプレッサーの製造(19億バーツ)、プラグインハイブリッド自動車とその部品の製造(17億バーツ)などがあった。

特に、タイ政府が産業の高度化を目指す「タイランド4.0」においてターゲット産業とする10分野別の投資申請状況をみると、タイ資本も含めた投資金額ベースで、タイが重点投資誘致分野と位置付ける「新Sカーブ産業(注)」に分類される、医療(2.23倍、131億バーツ)と航空(4.45倍、14億バーツ)が前年同期比で大幅な増加となった(添付資料表3参照)。

タイ資本も含めたターゲット産業への投資認可状況をみると、電気電子・エレクトロニクスが2.43倍の378億バーツと金額、伸び率ともに首位となった。このほか、農業・食品加工(9.6%増、183億バーツ)、医療(40.1%増、108億バーツ)、デジタル(17.7%増、27億バーツ)の伸びが目立った(添付資料表4参照)。

(注)タイ政府による用語で、ある産業が幼稚産業の段階から発展期を迎えてその後徐々に成熟してゆく様をアルファベットのS字になぞらえ、タイにおける新たな育成の対象となる産業を「新Sカーブ産業」としている。対象業種は医療、バイオテクノロジー、デジタル、航空、自動システム・ロボットの5分野。

(高谷浩一、トンワニッチャノッパクン・ニチャーパッタラ)

(タイ)

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