第3四半期のGDPはマイナス6.4%と第2四半期から改善

(タイ)

バンコク発

2020年11月18日

タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は11月16日、2020年第3四半期の実質GDP成長率が前年同期比マイナス6.4%となったことを公表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。GDP成長率は、新型コロナウイルス感染拡大により大幅に落ち込んだ前四半期のマイナス12.1%から、改善した。

需要項目別の内訳をみると、外需は、物品・サービスの輸出が前年同期比23.5%減で、前期の27.8%減からマイナス幅が縮小した。内訳は、物品輸出が7.7%減、サービス輸出が73.3%減だった。貿易相手国の封鎖措置により魚介や果物の缶詰など保存食需要の高まりから、一部物品の輸出が拡大したものの、コメやゴム、車両・同部品などは引き続き減少し、輸出全体としては厳しい状況が続いている。

一方、内需は、個人消費支出が前年同期比0.6%減と、前期の6.8%減からマイナス幅が大きく縮小。新型コロナウイルス感染拡大防止措置の緩和や国内移動制限の解除、政府の支援措置などが個人消費を下支えした結果、個人消費支出は改善した。他方、失業率の上昇や労働時間の短縮など、依然として雇用面からのマイナス要因は改善されていない。また、公共投資は18.5%増と前期(12.5%増)に引き続き好調。第2四半期に予定されていた政府投資などは、2020年度予算案の通過が遅れたこともあり、会計年度の後半(第3四半期)に支出が集中したことも押し上げ要因となった(注)。

NESDCのダヌチャー・ピチャヤナン長官は11月16日の会見で、「観光を除く全ての経済指標は第3四半期に改善した。政府支出は引き続きタイ経済を牽引する要因になるだろう。他方、バーツ高と高水準の失業率は成長のリスクとなりえる」と述べた(「バンコク・ポスト」紙11月16日)。

2020年の実質GDP成長率の予測を上方修正

また、NESDCは、2020年の実質GDP成長率をマイナス6.0%とし、8月時の予測(マイナス7.5%)から上方修正した。加えて、2021年の経済成長率を3.5%~4.5%と予測。国内需要の増大、世界経済の回復、政府支出の増加などが21年の成長率を押し上げる要因とした。

(注)タイの会計年度は、前年10月から当年9月まで。例えば2020年度は、2019年10月から2020年9月までとなる。

(岡本泰)

(タイ)

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