メリーノ大統領が新首相を任命、市場は好意的に反応

(ペルー)

リマ発

2020年11月12日

ペルーのマヌエル・メリーノ・デ・ラマ大統領は11月10日就任直後の演説で、国政運営の目標を掲げた。主なものは、「2021年4月11日の総選挙は必ず実施する」「国民の健康を守ることが最優先課題であり、そのため前政権の新型コロナウイルス対策チームを続投させる」「経済の活性化と、パンデミックで失業した人々の雇用を創出する」「地方分権と地方自治体の強化を推進する」「教育環境の保障とパンデミック後に向けた計画を推進する」などだ。その上で、国民に対して「国家の分裂を図る動きがあるが、許されない」として、マルティン・ビスカラ前大統領の罷免に反対する一部の党や抗議デモなどの動きを牽制した。

また、新首相として、弁護士で元議会議長(2004~2005年)のアンテロ・フローレス・アラオス・エスパルサ氏を任命し、翌11日に宣誓式を大統領府で行った。フローレス新首相は近く内閣を組閣する予定で、特に経済財政相やエネルギー鉱山相、運輸通信相、生産相など経済に関わる閣僚ポストへの注目が集まっている。フローレス首相は任命される前のRPP通信の取材に対し、「あくまでも暫定政権」だとして、2021年の総選挙で決まる新政権へのバトンタッチ役であることを強調した。全国規模で広がっている抗議デモについては「合憲的に認められた罷免決議に対する抗議」として懸念を示した。

罷免決議の市場への影響を見ると、罷免翌日の10日のリマ証券取引所(BVL)の平均株価やペルー国債(5割超は国外投資家が保有)は、ビスカラ前大統領罷免に動揺して軒並み下落したが、中道派のフローレス首相の任命により11日は徐々に落ち着きつつある。一方で、為替は先行きの不透明感からドル高ソル安に転じている。

【フローレス首相の経歴】

  • 1942年2月28日生まれ
  • 弁護士(サンマルコス国立大学卒)
  • キリスト教人民党(PPC)党首(1999~2003年)
  • ペルー議会議長(2004~2005年)
  • 防衛相(2007~2011年)
  • OASテロ対策委員会(CICTE)委員長〔2008~2009年(防衛相兼務)〕

(設楽隆裕)

(ペルー)

ビジネス短信 e323c4bf93a09b43