APEC閉幕、新しい目標「プトラジャヤ・ビジョン2040」を採択

(世界)

国際経済課

2020年11月24日

APEC首脳会議が11月20日に閉幕した。新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、2020年の今回はオンライン形式での開催となった。21の国・地域からリーダーが参加し、3年ぶりとなる首脳宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを採択した。新型コロナウイルスのパンデミックによって打撃を受けた世界経済の支援に向け、自由かつ予見可能な貿易を求めることで一致した。また、1994年に策定した「ボゴール宣言」(注)に代わる、新しい目標「プトラジャヤ・ビジョン2040外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」も発表された。貿易・投資の自由化、デジタル経済とイノベ―ション、持続的で包摂的な成長を柱として「2040年までに、開かれた、ダイナミックで、強靱(きょうじん)かつ平和なアジア太平洋共同体とする」理念を掲げる。貿易・投資の自由化には、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)アジェンダへの取り組みについても盛り込まれ、市場主導における地域の経済統合をさらに前進させることが確認された。

議長国であるマレーシアのムヒディン首相は開会あいさつで、新型コロナウイルスとの闘いにおいて、ワクチンへの公平なアクセスの必要性を述べた。並行して、パンデミック後の状況を改善するために、より包括的な経済成長を後押しすることに焦点を当てるべきだ、と語った。

日本から出席した菅義偉首相は、新たなAPECのビジョンの実現に向け積極的に貢献すること、また同月15日に署名に至った東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定の早期締結を目指すことを強調した。さらには、2021年夏の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を安全・安心なかたちで開催するため、全力で取り組む決意を示した。

中国の習近平国家主席は「多国間の貿易と投資の枠組みに参加し、より高い水準で開放した経済をつくり上げる」と述べた上で、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への参加を積極的に検討する旨を初めて表明した。中国が参加するRCEPについても「歓迎する」と成果を強調し、域内貿易の自由化を推進する姿勢をみせた。

2021年のAPEC議長国はニュージーランド。同国は、新型コロナウイルスの感染拡大の不確実性を背景に、2021年のAPECにおける一連の会議をオンラインで行うことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(注)1994年にボゴール(インドネシア)で採択された「ボゴール宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は、APEC全加盟国がアジア太平洋地域の自由で開かれた貿易・投資を達成するという目標を掲げており、2020年はその最終年に当たる。

(伊尾木智子)

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