10月の米失業率は6.9%と6カ月連続で低下

(米国)

ニューヨーク発

2020年11月10日

米国労働省が11月6日に発表した10月の失業率は6.9%(添付資料図、表1参照)と、市場予想(7.7%)を下回った。失業者数が151万9,000人減少した一方で、就業者数が前月から72万4,000人増加した結果、失業率は前月(7.9%)から1.0ポイント低下し、低下幅は8月(8.4%)から9月(7.9%)にかけての0.5ポイントより拡大した。

10月の失業者のうち、恒常的な失業者数は前月(375万6,000人)より7万2,000人減少して368万4,000人となり、一時解雇を理由とする失業者数は前月(463万7,000人)より143万2,000人減少して320万5,000人となった。労働参加率(注)は、前月(61.4%)から0.3ポイント増の61.7%となり、2カ月ぶりの増加になった。こうした中、平均時給は29.5ドル(9月:29.46ドル)で、前月比0.1%増、前年同月比4.5%増となった。

10月の非農業部門の雇用者数の前月差は63万8,000人増となり、市場予想(60万人増)を上回ったものの、前月(67万2,000人増)より増加幅が縮小した。9月から10月への雇用増減の内訳をみると、財部門が12万3,000人増で、特に建設部門が8万4,000人増と回復を牽引している。サービス部門は78万3,000人増となり、娯楽・接客業(27万1,000人増)の回復が大きい。一方、政府部門は26万8,000人減とマイナスだった(添付資料表2参照)。

労働省はプレスリリースにおいて、「これらの労働市場の改善は、経済活動の継続的な再開を反映しており、 新型コロナウイルスのパンデミック封じ込めの努力によるもの」と指摘した。

他方、求人サイトIndeedのエコノミスト、アンエリザベス・コンケル氏は「冬期における新型コロナウイルスの感染再拡大の可能性は常に存在し、企業にとってこれは経済不確実性を意味する。この不確実性が解消されるまで、労働市場が以前の状態に戻るのは難しい」と述べた(「CBS46」11月6日)。また、経済政策研究所のエコノミスト、イリース・グールド氏は「現在の回復のペースで、(新型コロナウイルス感染拡大により生じた)大きな需給ギャップを埋めるのにどれぐらいの期間を必要とするか着目することが重要だ」と述べた上で、「労働市場の完全な回復にはまだ数年かかるだろう」と指摘した(「ABCニュース」11月6日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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