韓国の民間研究機関、主要5カ国と労働市場の柔軟性を比較

(韓国)

ソウル発

2020年11月30日

韓国の民間研究機関である韓国経済研究院は11月19日、(1)雇用・解雇規制、(2)労働時間規制、(3)労働費用の3点について、主要5カ国(米国、英国、ドイツ、フランス、日本)と比較し、韓国は主要5カ国に比べ柔軟性に欠けていると指摘した。

雇用・解雇規制では、主要5カ国は製造業を含むほとんどの業種に派遣社員を認め、契約期間もドイツやフランス(ともに18カ月)を除く主要国では制限がない。一方、韓国は、派遣可能な業種が製造業を除く32業種に限定されており、派遣契約、有期労働契約ともに最長2年の契約に制限していることから、硬直していると分析した。また、労働者1人を解雇する際の諸費用が、主要5カ国では平均9.6週分の賃金を要するのに対し、韓国では3倍に近い27.4週分の賃金を要すると指摘した。

労働時間規制について、韓国では労働時間の上限が週52時間(注)に制限されている。柔軟な働き方の重要性の高まりに反し、フレックスタイム制の清算期間は3カ月と短い。労働時間を延長する場合、労働者の同意と雇用労働部長官の認可を受けなければならず、手続きの煩雑さを指摘した。

労働費用については、法定割増賃金を比較した。ドイツと英国では、時間外、深夜、休日などの割増賃金がなく、米国は平均16.7%、日本は28.3%の法定割増率に対し、韓国は50.0%と高い水準だとした。

同経済研究院のチュ・グァンホ経済政策室長は「主要5カ国のように雇用、解雇に関する規制の緩和、労働時間の柔軟性確保、過度な労働費用の合理化など、労働市場の柔軟性を強化するための制度改善が急がれる」とした。

(注)法定労働時間は週40時間。休日労働を含む延長労働時間の限度は週12時間。

〔当間正明、申智守(シン・スジ)〕

(韓国)

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