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ロ米関係は悪化の見方、環境分野での協力に期待

(ロシア、米国)

モスクワ発

2020年11月11日

米国大統領選で当選確実とされたジョー・バイデン前副大統領に各国首脳が祝辞を送る中、ウラジーミル・プーチン大統領は沈黙を保っている。ロシアの専門家は米国との関係について、バイデン政権下でも対立が続き、新たな対ロ制裁導入もありうるが、内容は限定的になるとみている。他方で、バイデン氏が掲げる環境政策面での協力に期待が寄せられている。

プーチン大統領が祝電を出していない理由として、大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は「(結果に関する)公式発表を待つのが正しいと考える」と述べた(「ノーボスチ通信」11月9日)。

ロシアの専門家はバイデン政権下のロ米関係の見通しについて総じて悲観的な見方だ。米国政治の専門家である高等経済学院汎欧州・国際研究センターのドミトリー・ススロフ副所長は10月28日に在ロ米国商工会議所が開催したウェビナーの中で、「バイデン政権となった場合、今後数年は関係が悪化する。政治的に対ロ強硬路線が取られる」と述べた。カーネギー国際平和財団モスクワ事務所のドミトリー・トレーニン所長も11月6日の欧州ビジネス協会主催ウェビナーで同様の見方を示した。

ススロフ氏は関係悪化の主な理由として、a.バイデン氏が選挙戦の中で「ロシアは安全保障上の最大の脅威」と発言したほか、ロシアに対して厳しい姿勢を取る同氏側近が政権内幹部に就任する可能性が高いこと、b.プーチン大統領とバイデン氏の個人的関係が悪いこと、c.米国内の「分断」がロシアとの建設的な関係構築の障害になることを挙げた。2011年にバイデン氏が副大統領として訪ロした際、プーチン大統領に対して2012年の大統領選に出ないよう勧めたことが個人的関係悪化の一因だという。

対ロ経済制裁の見通しについて、ロシア外交評議会プログラムダイレクターのイワン・チモフェエフ氏は新たな制裁の余地に触れ、「ナワリヌィ事件(注)に対する米国の対応に留意すべき」と述べた。加えて、EUのように特定個人を対象に制裁を発動する可能性があると指摘した(「フォーブス」ロシア版11月8日)。

ススロフ氏は今後の対ロ制裁に関しては、「ノードストリーム2」に対する制裁を含むトランプ政権の基本路線を踏襲するとした上で、「議会主導だけでなく、大統領主導での制裁導入もありうる」と述べた。一方、内容は特定個人や企業に対するものにとどまるとし、ロシア国債を対象とする制裁の導入は米国企業や投資家のみならず、世界経済に影響を及ぼしかねないため、導入される確率は50%以下との見方を示した。

ススロフ氏とトレーニン氏は、バイデン氏の主要政策である環境保護分野での協力可能性を指摘した。プーチン大統領は10月22日に開催された世界の有識者との会合の中で気候変動に関する問題を提起した(2020年11月6日記事参照)。ススロフ氏はこれを「バイデン氏に対する協力のメッセージと理解できる」と述べた。ロシア側は新戦略兵器削減条約(新START)延長やサイバーセキュリティーなどに関する対話開始も期待しているという。

(注)8月に起きたロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌィ氏の毒殺未遂事件。これを受け、EUはロシア大統領府や保安当局幹部に対する制裁を発動した。

(浅元薫哉、エカテリーナ・セミョノワ)

(ロシア、米国)

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