「新型コロナ禍」での入国手続き、空港での運用は順調
(インドネシア)
ジャカルタ発
2020年11月10日
ジェトロが10月29日、スカルノ・ハッタ国際空港において、インドネシアへの入国手続きを確認したところ、航空便の着陸から入国審査の終了まで1時間足らずで完了するなど、「新型コロナ禍」における入国手続きが、比較的順調に運用されていることが分かった。確認した入国手続きは、インドネシアの駐在員が日本への一時帰国後に行う再入国手続きで、滞在許可の有効期限内に行った。
現時点でのインドネシア入国手続きは、5月26日に保健省から公布された通達に基づくもの。日本の外務省によると、インドネシア入国に必要な条件と書類は以下のとおりとなっている。
- 各国の保健当局が発行した英文の健康証明書の所持(PCR検査の結果が陰性であることを示す記載が必要)(注1)
- 新型コロナウイルス非感染地域での過去14日間以上の滞在
- インドネシア共和国政府によって実施される14日間の隔離を受ける用意があることの宣言
今回、日本出発前に書類として準備されたものは、このうち(1)のみ。日本の医療機関で、入国前の7日以内にPCR検査を行い、同医療機関で(1)をPCR検査の陰性証明書と合わせて取得した。
次に、ガルーダ・インドネシア航空のウェブサイトによると、入国時の空港での手続きは、追加的な健康チェック、PCR検査の陰性証明書の確認、健康状況の確認などとなっている(注2)。10月29日時点の入国審査の流れは、次のようだった。なお、東京を午前中に出発する航空便が利用された。
・インドネシア到着に先立ち、航空機内で「ヘルスアラートカード」が配布される。同カードに氏名、年齢、インドネシアでの滞在地、現在の健康状況などを記入。
・インドネシア到着(午後4時13分)。入国審査に向かう廊下で、保健省発行の「ヘルスクリアランス」用紙が配布される。同書に氏名などを記入した人から順に、体温および血中酸素濃度などの測定があり、インドネシア当局の担当者が同用紙に測定結果を追記。なお、同用紙には「14日間は自宅などでの自主隔離を行わなければならない」との記載がある。
・当局の担当者が記入済みのヘルスアラートカード、ヘルスクリアランス用紙、英文の健康証明書、PCR検査の陰性証明書を確認。問題なければ、「Valid(有効)」のスタンプが書類一式に押されて返却される。
・入国カウンターでパスポートや上記書類一式が確認され、入国審査が完了(午後4時37分)。入国後も空港内で、PCR検査の陰性証明書の提示を求められた。
なお、11月5日にジェトロが保健省のコールセンターに問い合わせたところ、入国時に体温が38度以上あるなどヘルスクリアランスに合格しない場合、その場で迅速抗体検査(Rapid Test)を受けることになることが分かった。さらに、同検査で陽性であれば、追加でPCR検査を受け、結果が出るまで政府指定ホテルで待機(宿泊費用は入国者負担)するなど、追加的な措置が取られるとの話だった。
インドネシアでは10月1日から、ビジネス、家族合流など特定の目的で同国を訪問する外国人に対する査証および滞在許可の発給を、部分的に再開している(2020年10月16日記事参照)。これにより、日本からの入国者の増加が見込まれており、今回の入国で利用した航空便でも、座席の半数程度が埋まっており、少数ながら家族連れで入国する姿も見受けられた。しかし今後、入国手続きが突然変更される可能性もあるため、入国に当たっては、在インドネシア日本国大使館のウェブサイトなどで最新情報の確認が必要だ。
(注1)在インドネシア日本国大使館によると、健康証明書は、インドネシア入国の7日前以内に、医療機関が英語で発行したものでよい。健康証明書の別添として、PCR検査の陰性証明書を付ける。証明書のサンプルは同大使館のウェブサイトを参照。
(注2)インドネシア保健省によると、日本でPCR検査未受検でもインドネシアへの入国は可能だが、その場合、インドネシア到着後に空港検疫でPCR検査を受検することになる。この場合、PCR検査結果が判明するまでの間、渡航者自身の費用負担でインドネシア国内のホテルでの待機などが求められる。
(上野渉)
(インドネシア)
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