経済・エネルギー省、高温超伝導ケーブルの開発支援プログラム開始
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2020年11月18日
ドイツ経済・エネルギー省(BMWi)は、同省支援による「スーパー・リンク」プロジェクトを11月6日に開始したと発表した。このプロジェクトは、ミュンヘン現業公社(シュタットベルケ・ミュンヘン)(注)の主導の下、産業界と研究機関のコンソーシアムによって実施するもので、電力損失なしで送電するための地中電線用の高温超伝導ケーブルの研究開発を行う。BMWiは約4,000万ユーロを拠出し、10年間にわたって研究開発を支援する。
高温超伝導ケーブル技術は、特別伝導体を液体窒素で冷却することによって、電気抵抗による電力損失なしでの送電を可能にする。また、ケーブルのサイズをコンパクトにできるため、都市環境では大量の送電を可能にすると同時に、送電網の敷設時の土木工事の工数を減らすことができる。一方、高温超伝導ケーブル技術は送電網のみならず、工業分野での応用も見込まれる。例えば、電気分解などの高電流を利用する工程では、エネルギー損失を回避することにつながる。大規模な風力発電所建設時にも、高温超伝導ケーブルを使用することにより、発電機の軽量化と小型化が可能となり、性能向上が見込まれるという。
BMWiのアンドレアス・ファイヒト次官は「このエネルギー研究プログラムでは、エネルギー効率や費用効率の高いエネルギーシステムの転換に貢献できる技術の開発を目指す」としている。
(注)地域に特化し、送配電・電気小売りなどの公共サービスを行う公社。
(ベアナデット・マイヤー、森悠介)
(ドイツ)
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