衛生緊急事態宣言、2021年2月16日まで延長

(フランス)

パリ発

2020年11月17日

フランスで衛生緊急事態宣言の延長に関する法律が11月14日に成立した。これにより、10月17日に1カ月の期限付きで再発動した同宣言は2021年2月16日まで延長されることになった。

衛生緊急事態宣言の下、フランスでは10月30日から全土で移動制限措置が再び導入されている。ジャン・カステックス首相は11月12日、集中治療室の入院患者数が4,803人、新型コロナウイルス感染者による占有率は95%と医療機関の逼迫が続いていることから、移動制限措置を現行のまま2週間継続すると発表した。

首相は新たな感染者数が減少していることを踏まえ、12月1日から移動制限措置を一部緩和し、生活必需品以外の小売店の営業再開も可能になるとの見方を示した。ただし、12月1日以降も特例外出証明書の携行が必要になるとともに、バー・レストラン、スポーツジムなどは営業を停止し、これら集客施設についてはクリスマスごろの事業再開が目標になるとした。

移動制限措置の継続で打撃を受ける企業に対する連帯基金支援金、一時帰休制度の適用、社会保険料免除、家賃援助などの企業支援措置も引き続き適用する。ブリュノ・ル・メール経済・財務・復興相は12日、家賃支援について、11月に賃料を放棄した貸し主に対し、借り主が従業員数250人未満の企業の場合、放棄された賃料の50%の税額控除を認めるとした。ただし、借り主が従業員数250人以上5,000人以下の企業の場合、税額控除の適用が認められるのは賃料の3分の2までとなる。例えば、放棄された賃料が1万2,000ユーロだった場合、適用枠は8,000ユーロとなるため、貸し主に対する税額控除はその50%の4,000ユーロとなると説明した。

なお、11月14日付の衛生緊急事態宣言延長に関わる法律には、宣言の解除に向けた移行措置の適用を2021年4月1日まで延長する条項も盛り込まれた。これは、宣言解除後も期限付きで首相や県に、公共の場所での集会人数の制限やマスク着用の義務付けなどの措置を適用する権限を与えるというもの。この措置は7月10日の衛生緊急事態宣言の解除後、7月11日~10月30日の期限付きで導入されていた。

(山崎あき)

(フランス)

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