新型コロナウイルス感染拡大で非常事態宣言を再発令

(ポルトガル)

マドリード発

2020年11月11日

ポルトガルのマルセロ・ソウザ大統領は11月6日、新型コロナウイルスの感染者急増を受け、2度目となる非常事態宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを11月9~23日の期間に発令すると発表した。

121の自治体で夜間外出禁止措置

これに伴い、過去14日間に10万人当たりの感染者数が240人を超える121市を対象に、平日の午後11時~翌日午前5時、週末は午後1時~翌日午前5時、不要不急の外出が禁止となった。

このほか、全国的に実施される主な措置は以下のとおり。

  • 企業、教育機関、交通機関、商業施設、文化施設、スポーツ施設での体温検査の実施(38度以上の場合は立ち入り禁止を命令)
  • 医療施設、教育施設、空路あるいは海路で入国する場合や保健総局が必要と判断した場合、所定の場所での新型コロナウイルス検査を義務付け
  • 人的資源、手段の提供および施設使用を民間と公共部門に要請
  • 予防隔離中の労働者、授業を行っていない教員、軍人などを新型コロナウイルス感染者の追跡能力強化のための人的資源として動員

政府はこれに先駆けて10月31日、それまで北部3都市に発動していた「災害事態宣言」を11月4~19日にポルトガル全域(本土のみ)に拡大し、上述121市については「特別措置」を適用することを決定していた。その主な内容は「自治体間の移動の制限」「商店の営業時間は午後10時まで」「レストランの営業時間は午後10時30分まで」「6人以上の祝賀会や集会の禁止」「従業員が希望し、その業務の実施が可能な場合のテレワークの義務付け」などだった。

感染者急増で医療現場は逼迫

政府発表によると、1日当たりの新規感染者数は9月30日の825人から10月30日には4,656人に増加。10月の検査数70万2,612件のうち、陽性者は8%と高い割合となった。10月29日時点の全国の病床総数は1万5,171床で、そのうち、新型コロナウイルス感染による入院患者数は1,686人、新型コロナウイルス感染患者への対応が可能な病床数は361床となっている。集中治療室(ICU)については、病床総数は505床、うち、新型コロナウイルスの感染による入院患者数が286人、新型コロナウイルス感染患者への対応が可能な病床数は70床だった。11月9日時点の入院患者数は2,651人、ICU患者数は391人となっており、医療の現場は逼迫している。

(小野恵美)

(ポルトガル)

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