感染拡大が深刻化する米中西部、各州で規制強化の動き

(米国)

シカゴ発

2020年11月18日

米国中西部では、新型コロナウイルスの感染者が再び増え始め、11月以降多くの州で過去最多の検査陽性数、入院患者数を記録している。イリノイ州では11月16日から自宅待機勧告が発令された(2020年11月13日記事参照)ほか、周辺州においてもさまざまな規制、対策が講じられているが、一部州では依然としてマスクを義務化しない方針を知事が示すなど、状況は予断を許さない。

ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(民主党)は11月15日、同月18日から12月8日まで有効となる、レストラン・バーの店内飲食の停止、住居での集会人数を2家族10人以下に制限するなどの緊急命令を発令した。小中学校や託児所での集団感染例は少ないことから、対面授業および託児所の運営は続行する。

これに先立つ11月11日、ウィスコンシン州のトニー・エバーズ知事(民主党)は9月の大学再開を発端に感染が再拡大し、7日間の検査陽性患者率が30%を超えている(11月17日時点)ことから、自宅待機勧告を発令。エバーズ知事は、ワシントン大学健康指標評価研究所の予測を引用し、「規制を強化しない場合、2021年1月1日までに州内で累計約5,000人が新型コロナウイルスの原因で亡くなる恐れがある。この状況は非常に深刻だ」「現在、外出することは安全ではない」と訴え、不要不急の外出を避け、年末にかけての祝日の家族の集まりについても自粛を呼び掛けた。

共和党知事州にもマスク着用義務化の動き、一部例外も

ノースダコタ州は10万人当たりの感染者数(直近7日間平均)および直近の人口当たりの死者数が全米で最も多い(11月17日時点)。ダグ・バーガム知事(共和党)は、これまで州全体のマスク着用義務化について否定的だったものの、11月13日、医療機関の逼迫した状況とこれ以上の感染拡大による経済閉鎖の回避を理由に、マスク着用義務やレストランの収容人数制限などを含む知事令に署名した。

同様に、アイオワ州のキム・レイノルズ知事(共和党)は、これまでマスク着用を推奨はしていたが、義務化には否定的だった。しかし、11月17日から、公共の屋内スペースで社会的距離の確保ができない状況で15分以上過ごす場合に、マスク着用を義務付ける知事令を発令した。同措置は12月10日まで有効となる。

ネブラスカ州のピート・リケッツ知事(共和党)も11月13日、医療機関が逼迫している状況を受けて、総病床数に占める新型コロナウイルス患者による占有率を基準とした段階的な対策を発表。16日から、病床の占有率が20~25%の状況(11月17日時点現在)で、理美容院などのサービス業およびスポーツジムなどではマスク着用が義務付けられている。占有率が25%を超えた場合、レストランでの屋内飲食時に従業員のマスク着用が求められる。

一方、ノースダコタ州に次いで10万人当たりの感染者数が多い(直近7日間平均、11月17日時点)サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事(共和党)は、マスク着用については個人の自由で、「政府が義務付けるものではない」と過去に発言している。また、次期大統領就任が確実とされるジョー・バイデン前副大統領が全米を対象にマスク着用義務令を出したとしても、サウスダコタ州では適用しない考えを示している。

(大土萌子)

(米国)

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