米FRB、金融政策の現状維持を決定、資産購入の方法も議論

(米国)

ニューヨーク発

2020年11月10日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は11月4、5日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、金融政策の現状維持を決定した(添付資料図参照)。政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は0.00~0.25%に据え置いた。今回の決定は全会一致だった。

金融・財政政策両面から追加的な支援が必要と指摘

FOMCの声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、米国経済全般の状況判断について、前回会合とほぼ同じく「経済活動と雇用の回復は続いているものの、年初の水準を依然として大幅に下回っている」と指摘した。

ジェローム・パウエルFRB議長は記者会見で、新型コロナウイルスの再拡大が懸念材料との認識を示し、経済再開により景気は急速に回復してきたが、最近数カ月はそのペースが緩やかになっていると指摘した。金融政策についてはこれまでと同様に、政策金利、保有資産残高拡大ペースの維持を決定しているが、パウエル議長は「今回の会合でわれわれは資産の購入方法についても議論した」と述べ、経済のさらなる下支えのため、「保有資産の構成や残存期間、規模、購入サイクルをシフトすることもできる」とした。また「追加の財政支援が、適切な時期に議会が適切と考える規模で行われれば、より力強い経済回復につながるだろう」「多くの議員が追加的財政支援の必要性を認識していると思う」とも述べた。

大手会計事務所グランドソントンのエコノミスト、ダイアン・スウォンク氏は「新型コロナウイルスは選挙結果に関係なく存在する。FRBは新型コロナウイルスによる経済への悪影響を(引き続き)懸念している」「新型コロナウイルスによりもたらされた傷が悪化する可能性がある中、現在の経済対策が失効し、新たな経済対策が策定されなければ、米国経済はより深手を負うことになる」と指摘した(「フランス通信社」11月5日)。

(宮野慶太)

(米国)

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