現職のワタラ大統領が3選、野党は近く暫定政府を設置

(コートジボワール)

アビジャン発

2020年11月04日

コートジボワールで10月31日に大統領選挙が実施され、現職のアラサン・ワタラ大統領が3人の対立候補(2020年9月25日記事参照)を大差で抑え3選を果たした。公正、透明、民主的な選挙の条件が整っていないとして、選挙をボイコットした野党は11月2日、開票結果の発表を待たずに憲法の3選禁止規定を根拠に「ワタラ大統領の任期が切れた」と主張。コナン・ベディエ元大統領を議長とする「国家暫定評議会」の設置を宣言し、近く暫定政府を組織すると発表した。これに対し政府は3日、法的措置をとると警告しており、内政は混迷の度合いを深めている。

国内情勢の緊張が高まる中、3日に独立選挙管理委員会が発表した暫定集計結果によると、ワタラ氏の得票率が94.3%と過半数を超えたことから当選が決まった。他候補の得票率はそれぞれ2%未満だ。主要野党のコートジボワール民主党(PDCI)とイボワリアン人民戦線(FPI)のそれぞれ公認候補のベディエ元大統領とアフィ・ンゲッサン元首相のボイコットにより、事実上、「対立候補不在」となった選挙で、焦点の投票率は53.9%だった。憲法評議会は近く、開票結果の認定を行う。

8月以降、選挙プロセスをめぐって抗議デモが激化し、秩序の混乱も予想されたことから、厳戒態勢の中で投票は実施されたが、国内各地で妨害行為が広がった。首都ヤムスクロをはじめ一部地方では、与野党支持者間の対立が部族間の衝突へ発展し、多数の死傷者が報告されており、夜間外出禁止令が出されている。

アフリカ連合(AU)および西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が派遣した選挙監視団は、野党のボイコットにより緊張が高まったものの、全般として投票自体は大きな混乱に至らず公正に実施され、選挙の有効性は問われない、と評価した。一方、EISA・カーターセンター選挙監視団は、暴力行為、多くの行政・技術的不備がみられ、包括性と自由が妨げられた、として、選挙の信頼性に少なからず影響するとの見方を発表した。

国連は11月2日、事態の悪化を懸念し、混乱の回避に向け、モハメッド・シャンバス西アフリカ・サヘル地域担当国連事務総長特使を調停者として派遣した。AUとECOWASは3日、野党に対し、憲法秩序の順守を求めた。EUは、国内情勢の緊張の高まりを前に、全政治勢力に対し、平静と国民和解に向けた対話を促す声明を発表した。

(渡辺久美子)

(コートジボワール)

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