米国家マイノリティーサプライヤー開発会議、マイノリティー企業マッチングイベント開催

(米国)

ロサンゼルス発

2020年11月09日

米国で10月26~29日、国家マイノリティーサプライヤー開発会議(National Minority Supplier Development Council, NMSDC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが主催する「Conference + Business Opportunity Exchange」がオンラインで開催された。当初はアリゾナ州フェニックスでの開催が予定されていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によりオンライン開催となった。日本企業のスポンサーとしては、トヨタ、ホンダ、日産、リコーが名を連ねている。

NMSDCはマイノリティー企業(MBE)による受注を推進する全国レベルの組織で、全米で23の支部を有し、MBEの認定(注1)を行うほか、1万2,000社ものMBEのデータベースを保有し、大手企業(1,700の企業や国際機関などが登録。日本は自動車メーカー、金融機関、エンターテインメントの米国子会社などが登録)とのビジネスマッチング機会を提供している。米国では、連邦商務省の政策としてMBEによる受注が奨励されている。同イベントは大手企業の購買担当者とMBEとのマッチングの有力かつ最大規模の機会とされ、自動車や金融、食品飲料、テック、石油化学、エネルギー、ヘルスケア、政府機関などが参加している。

MBEの紹介などを通じて日本企業への支援を行っているアイティエー(I.T.A.)(注2)の岸岡慎一郎氏は「OEMメーカーの要求により、日系サプライヤーはMBEからの調達比率を高めるように求められており、苦慮していることもある。フォーチュン500に選定されている企業では、97%が多様性に基づく調達を行っており、年商の12~20%に当たる金額をMBEから調達する目標を立てている。多くは事務用品などの調達をMBEから優先的に行っているものの、金額が不十分なため、工場などの備品をMBEに切り替えることが必要になっているケースがあり、アイティエーでは日系企業に納める現地サプライヤーを発掘し、MBE化に向けてサポートしている」としている。

米国では、警察官によるジョージ・フロイド氏の暴行死事件を契機に「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事)運動」が高まっており、マイノリティーへの貢献は社会課題となっている。大手企業もMBEからの調達を拡大することにより、マイノリティー経済に貢献できるため、サプライヤーに対しても、MBEとの取引が奨励されることが予想される。

(注1)MBEとして認定されるには、51%以上の株式をアジア系、黒人系、ヒスパニック系、ネーティブ・アメリカン系の米国市民権を有する者が保有する必要があり、NMSDC地域支部で認定される。

(注2)アイティエーは、同イベントでのオンライン出展の模様を動画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで紹介している。

(佐伯徳彦)

(米国)

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