雇用パス申請前の30日間の求人を義務付け、11月1日から運用

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年11月06日

マレーシア人的資源省は10月26日、外国人駐在員の雇用パス(EP)申請に際し、その駐在員ポストに対する事前のマレーシア人向けの求人実施の運用を11月1日から開始すると発表した。駐在員だけでなく、外国人労働者の雇用の際にも事前の求人が必要となる。求人は、政府の求人ポータルサイトのマイフューチャージョブズ(MYFutureJobs)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます上で行う。人的資源省傘下の社会保障機構(SOCSO)が監督機関となる。10月2日に入国管理局外国人サービス部門(ESD)が同様の発表を行ったが、今回の発表で求人を行うサイトや手順などが変更となっているので留意が必要だ(2020年10月13日記事参照)。

マレーシア人の雇用を優先

今回の措置は全ての業種が対象で、マレーシア人の雇用を優先することを目的としている。SOCSOが10月31日付で発表したよくある質問(FAQ)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、外国人駐在員のEPを申請するには、原則として以下の手順を踏む必要がある。また、EPを更新する場合にも必要となる。

  1. マイフューチャージョブズに登録し、30日間の求人情報を掲載する。
  2. 求人情報掲載日から3日以内にPAPDフォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをオンラインで提出する。
  3. 求人期間内にマレーシア人候補者との面談を実施する。
  4. 求人期間終了後、所定の採用結果報告書(Hiring Outcome Report)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを作成し、会社所在地のSOCSO担当官宛にメールで提出する。
  5. 駐在員配置委員会(JPPD)で審議。JPPDで、求人したポストについて適切な現地人材が採用できないことが承認された場合、3日以内に当該会社の雇用パスの認証機関に通知され、雇用パス申請の手続きが可能となる。雇用パスの認証機関は、業種によって異なる。

審議に当たっては、雇用者がマレーシア人人材を採用する努力をしたかどうかを考慮するという。また、審議の結果に対する異議申し立てはポスト当たり1回まで可能となる。

新規配置または交代の必要がある外国人駐在員のポストが重要なポストである場合、または雇用パスカテゴリーⅠの更新の場合には、そのポストの肩書、求人数、給与額を記載した書状を作成し、SOCSO担当官宛てにメールで提出することで、求人の実施が免除される可能性がある。ジェトロがSOCSOに行った電話確認(11月3日)によると、求人を免除するかどうかは当該会社の雇用パス認証機関が判断するという。ただし、求人が免除される場合でも、PAPDフォームの提出は必須となる。

外国人労働者の採用も、基本的には上記の駐在員の手順と同様だが、求人期間終了後に採用結果報告書の提出とともに、外国人労働者管理システム(ePPAx)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますへの申請が求められる。また、審議はローカル・外国人労働者配置委員会(JPPAPT)が行う。なお、外国人労働者の新規採用は12月31日まで凍結されている。

(田中麻理)

(マレーシア)

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