10月の自動車生産台数は生産財の不足などで減少

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年11月10日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は11月4日、10月の自動車(トラック、バスを除く)の生産台数および輸出台数を発表した。生産台数は前月比10.7%減、前年同月比9.8%減の2万8,706台、輸出台数は前月比17.1%減、前年同月比23.2%減の1万4,845台となった。生産、輸出ともに前月、前年同月の水準を下回った(添付資料図1、図2参照)。

生産台数の内訳をみると、乗用車が前月比2.7%減、前年同月比29.6%減の1万2,501台、商用車が前月比16.1%減、前年同月比27.0%減の1万6,205台となった。なお、「乗用車」は車両重量が1,500キロ以下の人員輸送用の車両、「商用車」は車両重量が1,500キロ以下の商業用途の車両を指す。

1月から10月までの仕向け地別の累計輸出台数をみると、ブラジル向けが7万2,311台と全体の66.2%を占めたが、前年同期比では5万1,508台減少しており、輸出台数全体を押し下げている。

ADEFAのダニエル・エレーロ会長(アルゼンチントヨタ社長)は10月の生産台数の減少要因について、加盟各社の工場稼働日が平均で21日となり前月比で1日少なかったこと、生産財の不足に加えて、幾つかの加盟社が新モデル投入のため生産稼働の調整を行ったことを挙げた。

また同会長は、10月26日に行われたアルベルト・フェルナンデス大統領および閣僚との会合に言及。自動車産業による雇用創出、輸出、生産拡大を推進する法的枠組みの成立に向けた、対話の意見の一致の重要性を訴えた。同会合は、産業の活性化と外貨獲得を目的に、産業部門別に政労使それぞれの代表者の参加を得て行われたもの。

11月5日付の現地紙「アンビト」(電子版)は、新型コロナウイルスの感染拡大第1波が自動車生産に影響を与えたのは9月までで、10月の生産台数の減少は各社の計画によるもの、と指摘。その上で、問題は新型コロナウイルスではなく「外貨の流出を防ぐ目的で導入されている輸入規制による自動車部品の不足」だ、と論評している。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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