2020年第3四半期のGDP成長率は前年同期比マイナス9.1%

(チリ)

サンティアゴ発

2020年11月25日

チリ中央銀行の発表(11月18日)によると、2020年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は、前年同期比マイナス9.1%だった(添付資料表1参照)。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて2期連続で大幅な落ち込みとなったが、第3四半期は国内の経済活動が徐々に再開し始めたこともあり、感染ピークとなった第2四半期(マイナス14.5%)に比べると回復基調にある。

需要項目別にみると、内需は前年同期比マイナス11.4%と大幅に減少した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出制限などにより、サービスと非耐久財への支出が減少し、民間消費は8.8%減だった。サービスはレストラン、ホテル、交通、健康分野の消費減によるもので、非耐久財は燃料、飲料、衣類への消費減によるもの。政府による家計救済のための経済的措置や、年金10%の引き出し法施行(2020年8月4日記事参照)により、コンピュータや携帯電話などの耐久財の消費は回復したものの、全体をカバーするまでには至らなかった。

総固定資本形成は、建設・その他の投資と設備投資の落ち込みにより、前年同期比マイナス18.5%だった。建設・その他の投資は、主に住宅などの建設事業の減少と鉱業関連の投資減によるもの。財貨・サービスの輸出入は、輸出が7.2%減、輸入が15.0%減だった。財貨の輸出は、銅や果物の輸出減によるもので、輸入は自動車、衣類、燃料の輸入減によるもの。サービスは輸出入ともに、観光サービスと輸送サービスの落ち込みによるもの。

経済活動別にみると、商業、公共サービス以外ほぼ全ての項目で前年同期比減となった(添付資料表2参照)。横ばいの商業は、外出制限の緩和による小売業の好調と、オンライン販売が増加したことが影響している。減少幅が大きかったのは、レストラン・ホテル(前年同期比43.2%減)、建設(29.2%減)、運輸(28.6%減)で、建設は地域ごとの外出禁止措置による建設事業の停止によるもの。

現地エコノミストらは、第4四半期のGDP成長率は0.5~2.8%とプラスに転じ、2020年通年ではマイナス5.5%になる、と予想している(「ラ・テルセラ」紙11月19日)。

(岡戸美澪)

(チリ)

ビジネス短信 2055b33f3d186774