中国最大規模の福祉関連展示会、日中高齢者産業交流会も開催

(中国)

上海発

2020年11月20日

「2020上海国際福祉機器展(CHINA AID 2020)」(以下、「CHINA AID」)が10月28~30日、上海新国際博覧センターで開催された。2000年から開催されている「CHINA AID」は2020年で15回目を迎え、中国最大規模の福祉関連展示会となっている。

主催者によると、同展示会は毎年6月に開催されているが、今回は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて開催が延期となった。12カ国・地域から301社が出展し、来場者数は3万4,588人で、2019年の来場者数(4万7,890人)を下回ったものの、十分なにぎわいをみせ、「新型コロナ禍」でもオフラインでの展示会が、通常のように開催できていることを印象付けた。介護サービス、介護用品や福祉用具のメーカー、福祉用具の洗浄、リハビリなどのサービスや商品を扱う日本企業33社・団体が出展した。

今回初めての出展となった人工知能(AI)スタートアップのエクサウィザーズは、中国企業と共同開発した、高齢者の自立支援のためのAIによるケアプラン作成プログラムを出展し、多くの来場者の関心を集めた。同社の連婷婷博士は「今回の出展を通じて市場のニーズを理解することができ、今後開発に注力すべきところが明確になった」と評価した。

ジェトロは、「CHINA AID」会場内で「日中(上海市)高齢者産業交流会」を開催した。交流会の冒頭、上海市民政局養老服務処の葛健副処長が講演を行い、上海市の養老産業の最新政策や動向を紹介した。

葛副処長は、2019年末時点で60歳以上の高齢者人口が518万人に達している上海市の高齢化状況に触れ、高齢者介護産業の発展を促進する、と述べた。上海市政府は2020年4月に介護現場で特にニーズの高い技術やサービスについて、「スマート介護活用一覧外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」として4分野、計12の代表的な用途(添付資料表参照)を発表しており、この分野での日本企業の参入を歓迎する、と話した。

また、上海市はリハビリ補助器具産業の推進に力を入れており、リハビリ補助器具のコミュニティレンタルサービスを全国に先駆けて展開している(2019年12月4日記事参照)。2020年末までに対象地域を現在の70カ所から150カ所に拡大するほか、2021年末までにサービスプロバイダーの多様化と運用サービスの標準化を進め、消費者満足度の高いサービス体制の確立を目指す、と述べた。

講演後、日本企業30社と中国企業78社が商談を行った。参加した日本企業からは、変化の激しい中国市場においてはオフラインの交流機会が重要だとし、今後も開催を求める声が寄せられた。

写真 交流会の様子(ジェトロ撮影)

交流会の様子(ジェトロ撮影)

(唐澤和之、徐暁蕾)

(中国)

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