上海市、全国に先駆け70カ所で健康補助器具のリースを開始

(中国)

上海発

2019年12月04日

上海市内の全16区70カ所で11月26日、「健康補助器具リーステスト拠点」(以下、リース拠点)が営業を開始した。これは、中国民政部、国家発展改革委員会、財政部、中国障がい者連合会が6月27日に発表したリハビリ・福祉用具のレンタルサービス(以下、サービス)の試験的な展開が具体化されたもので、全国で初の取り組みとなる(2019年7月9日記事参照)。

リース拠点では、高齢者、身体障がい者、傷病者向けに、高品質でコストパフォーマンスの良い健康補助器具のリースを行う。対象となるのは、電動車いす、介護用ベッド、膝用の矯正器具など日本からの輸入品を含む45品目で、品目は適宜調整される。上海市民政局は2021年末までに、同リースサービスのネットワークを全市に広げるとしている。

上海市は高齢化の進行が早く、健康補助器具のリースに対するニーズも大きい。2018年末時点での60歳以上の高齢者人口は503万3,000人で上海市全体の戸籍人口の34.4%を占める。うち、80歳以上は81万7,000人で高齢者人口の16.2%となっている。一方、「障がい者証」を有する人は54万9,200人で、このうち60歳以上の高齢者は34万9,000人と全体の63.5%を占める。

地元メディアによれば、60歳以上75歳未満の低収入所得者および75歳以上の高齢者が、「上海市2019年社区健康補助器具リース商品目録」に掲載された健康補助器具のリースを受ける際に補助金を申請することができる。補助金はリース費用の50%、上限額は1人当たり年間3,000元(約4万5,000円、1元=約15円)となっている(「中新網上海」2019年11月26日)。

11月上旬に上海市で開催された、第2回「中国国際輸入博覧会」においても、ジェトロが出展を取りまとめた医療機器・医薬保健分野のジャパンパビリオンで、72億円を上回る成約金額〔成約見込み額および覚書(MOU)締結額を含む〕があった(2019年11月20日記事参照)。高齢化が進む中国において、日本のヘルスケア関連商品やサービスへの関心は引き続き高い。

(福田和俊)

(中国)

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