身体障害者競技サイバスロン2020開催、オンラインで熱戦

(世界、スイス、日本)

ジュネーブ発

2020年11月19日

スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)が主催する身体障害者競技「サイバスロン・グローバルエディション2020外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が11月13~14日、オンラインで開催された。

サイバスロン(CYBATHLON)は、主に障害者と技術開発者の橋渡しを通じて、障害者の日常生活のサポートに役立つ技術の開発を促進させる目的でETHZのロバート・ライナー教授の発案により、2016年に初めて開催された競技で、今回が2回目となる。今回は新型コロナウイルスの影響により、チューリッヒに選手が集合するのではなく、競技条件を全て公開し、各地で競技を実施する「グローバル・エディション」のかたちを採用した。事前に録画した競技内容をオンライン審査するもので、20カ国から51チームが参加した。

本大会はパラリンピックと異なり、障害者の日常生活における課題解決のための技術開発を重視しており、障害者と開発者で構成されたチーム対抗で、義手を使っての服や靴の着脱、電動車いすや義足での坂や階段の乗り降りなどの課題をクリアし、ポイントと時間で競う。以下の6種目が行われ、各種目の参加チーム数と優勝チームは次のとおり。

  • 脳コンピュータインターフェースレース:7チームが参加、WHi(イタリア)が優勝。
  • 強化型義手レース:13チームが参加、メーカーハンド(Maker Hand、クロアチア)が優勝。
  • 機能的電気刺激自転車レース:9チームが参加、パルスレーシング(PULSE Racing、オランダ)が優勝。
  • 強化型義足レース:5チームが参加、サークレッグ(Circleg、スイス)が優勝。
  • 強化型車いすレース:7チームが参加、HSRエンハンスド(HSR enhanced、スイス)が優勝。
  • 強化型外骨格レース:9チームが参加、エンジェル・ロボティクス1(Angel Robotics 1、韓国)が優勝。

日本は、日本の得意とするロボティクスと、障害者の移動手段確保という社会課題を反映して、特に電動車いす競技に力を入れており、強化型車いすレースでは7チーム中4チームが日本から参加した。慶応大学のフォルティシシモ(Fortississimo)が3位、和歌山大学のRTムーバーズ(RT-Movers)が4位(2016年も同チームは4位入賞)に入賞した。

本大会は障害者、研究者、産業界の交流を目的としており、前回に引き続き、関係者が登壇するシンポジウム(2020年9月に開催)と競技の2部構成で開催された。また今回、リモート開催となった利点を生かし、各チームから提出された競技の録画や上位4チームの競技模様がウェブサイトに公開外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされており、競技イベント終了後も体験ができる工夫がされている。サイバスロン実行委員会は、次回は2024年にチューリヒで開催すると発表している。

(和田恭)

(世界、スイス、日本)

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