税関、カミソリを知的財産侵害物品として摘発

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年11月10日

インドネシア税関は11月6日、中国から輸入された「ジレット」ブランドのカミソリの模倣品を、知的財産侵害物品として水際で摘発したことを明らかにした。

現地の税関事務所がウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表したところによれば、摘発した物品は、タンジュン・エマス港(中部ジャワ州)に輸入されたカミソリの柄39万本およびヘッド52万1,280本。権利者(PT Procter & Gamble Home Production Indonesia)が、税関への情報登録(Recordation)を行っていたことが今回の摘発につながった。

税関による知的財産侵害物品の取り締まり制度(2018年8月29日記事参照)は、権利者が自社製品の情報(仕様、写真など)をあらかじめ税関へ登録しておくと、侵害疑義物品が輸入された際に税関から権利者に通報が行く。権利者は商務裁判所へ仮差し止めを要請でき、税関に担保を納付、商務裁判所で仮差し止め要請が受理されると、税関、知的財産総局、商務裁判所が合同検査を行い、貨物を差し止めるというものだ。

本制度上、税関への情報登録を行えるのはインドネシア国内に居住する法人に限定されているが、情報登録は関税総局のポータルサービス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(CEISA)から電子的に行うことができ、登録費用はかからない。税関から通報を受けた場合、権利者は2日以内に仮差し止めを要請するかどうか返答しなければならないが、それも電子的に行うことが可能など(2019年8月9日付地域・分析レポート参照)、権利者側の事務負担に配慮する仕組みになっている。

今回の案件では、輸入されたのが10月7日で、税関から権利者への通報、権利者からの要請などを経て、商務裁判所が10月19日に仮差し止め要請を受理し、貨物の合同検査を経て11月6日に摘発されたことから、侵害物品の差し止めに向けて迅速な対応がとられている。

税関による知的財産侵害物品の摘発は、2020年1月以来だ(2020年1月14日記事参照)。税関への情報登録件数はまだ少ないことから、より多くの情報登録を税関は期待している。

(佐々木新平)

(インドネシア)

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