2021年のGDP、4.0~6.0%成長と予測

(シンガポール)

シンガポール発

2020年11月26日

シンガポール貿易産業省(MTI)は11月23日、2021年のGDP成長率見通しについて、主要国が「新型コロナウイルス禍」の経済的な打撃から回復するのに伴い、国内経済も成長に転ずるとして、「前年比プラス4.0%~プラス6.0%」との予測を明らかにした。また、2020年通年のGDP成長率予測を「同マイナス6.5%~マイナス6.0%」とし、これまでの予測「同マイナス7.0%~マイナス5.0%」から予測幅を縮小した。MTIが2020年のGDP成長率を修正するのは、2月と3月、5月、8月に続き5回目となる(2020年8月14日記事参照)。

MTIは、8月以降も世界の経済状況が引き続き低迷しており、国内経済も渡航規制により観光や航空、宿泊などで厳しい状況が続くと指摘。一方、小売りや飲食など消費者向けサービスについては、段階的な経済活動の再開によって回復。第5世代移動通信システム(5G)やデータセンター、クラウドサービス関連の半導体の需要増に支えられて、製造業の見通しも改善したと述べた。同省によると、2020年第3四半期(7~9月)のGDP成長率は改定値で前年同期比マイナス5.8%と、第2四半期(4~6月)の同マイナス13.3%からマイナス幅が縮小した。

同省は2021年について、主要国の経済の回復が見込まれるものの、「回復の速度は遅い上、一様ではなく、多くの地域では2021年末まで新型コロナウイルス流行前の水準には戻らない」との見通しを示した。MTIは今後の国内経済の回復について「世界経済回復の状況と、国内の感染を引き続き抑え込むことができるかかかっている」と指摘した。

2021年の非石油輸出、前年比0.0%~2.0%増の見込み

MTI管轄下の産業・貿易振興機関エンタープライズ・シンガポール(ESG)は同日、2020年通年の輸出指標である非石油部門の地場輸出(注)について「前年比4.0%増~4.5%増」とし、これまでの予測「同3.0%増~5.0%増」から予測幅を縮小した。ESGは8月以降、主要国経済と貿易の見通しがやや改善したと指摘した。2020年通年の貿易総額予測については「同7.5%減~7.0%減」と、これまでの「同10.0%減~8.0%減」から上方修正した。

また、ESGは2021年の非石油部門の地場輸出は「同0.0%~2.0%増」、貿易総額は「同1.0%増~3.0%増」との予測を明らかにした。

(注)自国生産による物品輸出で、再輸出を除く。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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