9月のCPI、前年同月比11.8%上昇

(トルコ)

イスタンブール発

2020年10月12日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(10月5日)によると、9月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比11.75%の上昇と、8月の同11.77%からほぼ横ばいとなり、市場予測の12%超を下回った(添付資料表1参照)。

CPI上昇率は、原油価格の急落と新型コロナウイルス感染拡大を要因とした経済活動の鈍化に伴い、「エネルギー」が3月以降に低下傾向を示しているが、通貨トルコ・リラ(以下、リラ)の下落が相殺するかたちで、物価抑制に対する寄与は限定的になっている。また、最大の構成比23.29%となる「食品・飲料」は、「未加工食品」が前年同月比で大きく上昇し、物価上昇をけん引した。

主要商品項目では、白物家電や自動車、家具を中心とした「耐久消費財」が、リラの減価によって価格が上昇し、押し上げ要因となった。他方、「衣料品・靴」は季節要因による価格上昇圧力は弱く、前月比では3カ月連続のマイナスと鈍化し、価格抑制に寄与した。

サービス部門では、「運輸」が5、6月の上昇調整や前年のベース効果もあり、9月は前月比でマイナスとなった。「ホテル・レストラン」と「賃貸」も、新型コロナウイルスによる需要減などを背景に8月から低下し、サービス部門全体の物価を抑制している。他方、「通信」は前年同月比では上昇傾向が続いている。

9月の国内生産者物価指数(D-PPI)上昇率も、やはりリラ下落の影響で、8月の前年同月比11.53%から、14.33%に悪化した(添付資料表2参照)。為替のコストプッシュ圧力が第4四半期(10~12月)に向けた懸念材料となっている。

また、トルコ中央銀行は、9月の金融政策会議で、政策金利を200bp引き上げ、10.25%と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これは2018年8月のリラ暴落以来、約2年ぶりの利上げとなる。しかし、依然としてCPIを下回る実質的なマイナス金利にとどまったことで、市場への影響は見られず、9月末のリラは対ドルで7.8リラを超える史上最安値を記録、2020年初来で約24%の減価となった。

一方、9月29日に発表された「新経済プログラム」(2020年10月8日記事参照)では、2020年末のインフレ率の目標は10.5%、2021年は8%に設定されている。9月29日付の現地紙によると、アルバイラク国庫・財務相はプログラム発表後、外貨為替レートの上昇の影響について記者に聞かれたが、「通貨は全く重要ではない」と答えている。

(中島敏博)

(トルコ)

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