「新型コロナ後」を見据えた2021~2023年の新経済プログラムを発表

(トルコ)

イスタンブール発

2020年10月08日

トルコ政府は9月29日、「新しい安定、新しい日常、新しい経済」をテーマに、2021~2023年の「新経済プログラムPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。ベラト・アルバイラク国庫・財務相は、プログラムの開始式典において、2020年のトルコの実質GDP成長率が0.3%のプラス成長になるとの予想を発表した(トルコ国営アナドル通信9月29日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(添付資料表1参照)。

同相は、2021年には、先延ばしにされていた消費と投資が回復し、観光収入が正常化することで5.8%の経済成長を実現させるとし、2022年と2023年も年間5.0%で推移するとの予想を述べた。そして、その目標実現のため、「輸出、生産、雇用」に焦点を当てるとした。ただし、新型コロナウイルス感染拡大の第2波到来など最悪のシナリオにおいては、2020年のGDP成長率はマイナス1.5%、2021年は3.7%のプラス成長となる可能性もあるとも述べている。

また、新型コロナウイルス対策としての支援パッケージが、これまででGDPの10%相当の4,940億トルコ・リラ(約6兆9,160億円、1リラ=約14円)に達したとし、2020年第3四半期に強力なV型回復の兆候がみられる、と主張した。一方で、観光、運輸、サービス部門の回復が遅れているとし、「約1,500万人の雇用を擁するサービス部門の活性化が極めて重要」と述べた。2020年の失業率は13.8%とし、2023年までに10.9%までに抑制するとしている。インフレ率(消費者物価上昇率)も2020年は10.5%を見込んでいるが、2021年からは1桁台に抑え込むとした。

9月29日付のトルコ国営アナドル通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、経済界は政府の経済プログラムで発表された数字を「合理的」と、おおむね好意的に捉えていると報じた。他方で、インターネット上で散見されるエコノミストらの評価は低い。2020年の経常赤字をGDP比で3.5%、財政赤字を同4.9%(添付資料表2参照)と見込んでいることに対して、計算の基となる為替レートを楽観しすぎ、との批判も出ている。エコノミストらの、政府による目標数値に対する信頼は薄く、今回のプログラムで確認できたのは、変わらぬ「成長主導」だけだとの声もある。

(中島敏博)

(トルコ)

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