津田駒工業、綿密に事前準備しEPAを活用

(日本、米国、EU)

米州課

2020年10月19日

石川県金沢市に本社を構える、繊維機械メーカーの津田駒工業は、織機市場で国内トップシェアを誇り、海外でもその技術力が高く評価されている。また、工作機械関連事業では、自動車・航空機・IT端末・医療系部品などを製造する「NC円テーブル」や「マシンバイス」などの工作機械の補要機器の製造・販売をしており、繊維機械とともに海外への輸出を積極的に行っている。工機販売部部長の大河哲史氏と販売担当者に、工作機械用関連製品の輸出における経済連携協定(EPA)および自由貿易協定(FTA)の活用状況について話を聞いた(8月18日)。

上述のNC円テーブルの生産の約7割が輸出されており、その最終仕向け先は多岐にわたる。また同社は、米国・中国・アジア・欧州など世界の主要拠点に海外拠点を有しており、各拠点や現地代理店を活用して海外の販路開拓を行っている。

同社は、2019年2月に日EU・EPAが発効したことを受け、その直後から特恵関税を利用している。それに当たっては、関連資料やセミナーなどでの知識の取得や、原産地証明の自己申告内容を用意するなどの事前準備を行い、特恵関税を利用することで1.2%あった関税が撤廃となった。

また、同社は、製品の米国向け輸出に40年近く取り組んでおり、2020年1月に発効した日米貿易協定の活用に向けて、準備を進めている段階だ。基幹システムを活用した製造工程や原産性の一括管理、社内の管理体制構築などの社内準備作業を進めており、体制が整い次第、同協定の利用を考えているという。同時に、日印EPAを活用した輸出準備も進めており、今後、新たなEPAやFTAが締結された場合も利用を検討している。

写真 輸出事業の主力製品であるNC円テーブル(津田駒工業提供)

輸出事業の主力製品であるNC円テーブル(津田駒工業提供)

EPA利用に当たって、同社はその必要性や意義を社内に周知徹底させるとともに、通関業務の簡素化などのメリットの享受や、仕向け先でのブランド戦略の一環としても積極的に活用したいと考えている。

(須貝智也)

(日本、米国、EU)

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