食品小売り各社、トルコ製品の輸入・調達停止を発表

(サウジアラビア)

リヤド発

2020年10月20日

サウジアラビアのSNS上で起きているトルコ製品の不買運動(2020年10月13日付地域・分析レポート参照)が広がりを見せている。当地の食品小売会社が相次いでトルコ製品の輸入停止を発表し始めたことにより、消費者によるトルコ製品購入の是非の判断ではなく、産業全体の動きにまで拡大してきた。

地場大手のアル・オセイム・マーケットは10月16日、同社のSNS上で「トルコからの製品の輸入を停止するとともに、地場企業からのトルコ製品の調達を停止する。トルコ製品のボイコットはわれわれの義務だ。これはトルコ政府側の行為に派生するものだが、兄弟であるトルコ国民には敬意を表す」と発表した。これを皮切りに、17日にダヌーブ、アル・サドハーン、18日にはパンダ、タミミといった現地スーパーも同様に、トルコ製品の輸入停止を発表した。

これらに加え、地場ホームセンター・チェーンSACOも18日、トルコ製品の輸入停止を発表した。また、地場ファストフード・チェーンのヘルフィは19日、トルコ製品の調達停止の発表だけではなく、これまで「ターキッシュ・バーガー」として販売していた商品を取りやめ、「ギリシャ・バーガー」に変更することを発表するなど、追随の動きは後を絶たない。

グローバル・トレード・アトラス(GTA)でトルコ側の輸出統計をみると、これらの食品小売店で販売されている主なトルコ製品はビスケット、クッキー、ワッフル、ケーキなどの焼き菓子類、チョコレート菓子類、チーズ関連商品、乾燥ピスタチオ、生鮮・乾燥レモンなどがある。単価が安いため、サウジアラビアの輸入総額に占めるシェアは低いが、サウジアラビア人家庭で日常的に多く消費される商品ばかりだ。食品小売り各社は「同品質の代替商品を調達し、消費者に提供する」とそろって発表しており、エジプト製品など同じ価格帯で調達可能な周辺国からの輸入に切り替えられていくものとみられる。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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