欧州中小企業連合会、中小・零細企業向け支援継続など要望

(EU)

ブリュッセル発

2020年10月15日

欧州中小企業連合会(SMEunited)は10月12日、2020年秋の「EU同業組合・中小企業バロメーターPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(EU Craft and SME Barometer)」(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これによると、SMEunitedの会員団体が行った調査の結果を基に独自に算出し、企業の景況感を示す「中小企業ビジネス環境インデックス」(注2)が2020年春から18.8ポイント下がって54.6ポイントとなり、2007年以降で最低だった2009年の金融危機時と比較して0.5ポイント低かった。今回の調査は2020年5~9月に集められたデータを基にしたもので、SMEunitedは、欧州の中小・零細企業に「新型コロナ危機」がもたらした影響は非常に深刻なことを示しているとした。

経済への影響の南北・部門間格差も顕著に

今回の結果では、「新型コロナ危機」前はほとんど差がなかった北欧諸国と南欧諸国の「中小企業ビジネス環境インデックス」に15.8ポイントもの差が出ており、「新型コロナ危機」の経済への影響に関して、欧州内での地域間格差が顕著に表れている。SMEunitedは、(1)ロックダウン措置の厳しさ、(2)医療体制が強固かどうか、(3)危機に対応できる財政力があるかにより、各国間で差が出たとした。

また、部門間でも差が見られた。建設業は改修工事や個人の住宅関連需要の回復により、影響が最も緩和されつつあるが、観光や健康産業などのホスピタリティー部門、小規模な小売業や化粧品部門などを中心に、個人向けサービス部門は最も深刻な影響を受けているとした。

今後については、2020年下半期に入って経済回復しつつあるものの、通常からは程遠い状況であるのは変わりなく、また、第2波の兆候も見られていることから、経済回復が止まる恐れがあることを指摘。中小企業は短期的には真の経済回復を期待できないとの見方が示した。

SMEunitedは欧州および各国政府に対し、危機を克服して投資や雇用を再開するためには、「新型コロナ危機」に関連する支援策の継続や、失業者・労働者の技能研修の強化、イノベーション、デジタル化とグリーン化への支援などが必要だと訴えた。

(注1)「EU同業組合・中小企業バロメーター(EU Craft and SME Barometer)」は、SMEunitedが年に2回公表するもので、会員団体が年に2~4回実施する調査の結果に基づく。欧州各国の中小・零細企業12万社に質問票を送付し、3万社から回答を得ている。対象部門は製造と建設、商業、個人向けサービスで、事業の全体的な状況や売上高、雇用など6分野について質問したもの。

(注2)事業全体の状況に関して、現況と今後の見通し双方について、前向き(Positive)もしくは否定的ではない(Neutral)とした回答の総数の平均を用いて算出。

(滝澤祥子)

(EU)

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