食品への5段階の栄養スコア表示制度を導入

(ドイツ)

欧州ロシアCIS課

2020年10月16日

ドイツの連邦参議院(上院)は10月9日、8月に閣議承認されていた食品への「栄養(ニュートリ)スコア」の表示導入のための食品レベル表示に関する政令改正を可決した。「栄養スコア」は、栄養情報の表示についてわかりやすさを重視し、「A」から「E」のスコアで栄養評価を表示、消費者にとっては一目で健康的な食品がわかり、選択しやすくなる。食品企業としては健康的な食品を消費者にアピールし、商品の差別化を図ることが容易になることが期待される。11月から適用開始となる予定だ。

図 栄養(ニュートリ)スコア

加工食品全般に「栄養スコア」を付すことができるが、単一の材料からなる未加工食品(果物など)や茶、日本酒などのアルコールなどは対象外。「栄養スコア」使用は義務ではなく、任意。ただし、高評価を得た商品にのみスコアを表示するような選択的利用は認められない。また、これにより、エネルギー量や栄養素などの栄養表示やアレルゲンなどのラベル表示義務(調査レポート「EUにおける食品ラベル表示に関する規制」参照)が免除されるわけでもないことに注意が必要だ。

既に導入されていているフランスの制度をドイツに導入するかたちとなっており、スコアは、食品に含有されるカロリーや飽和脂肪酸、糖分、塩分などマイナス要素と、プロテインや食物繊維、果物・野菜・ナッツ類などのプラス要素で計算される。スコア計算のための表(エクセルファイル)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますや申請の手続きは食料・農業省のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで参照できる。

EUは、消費者にとってわかりやすい栄養表示について域内統一基準の早期策定に取り組んでおり、2022年第4四半期(10~12月)までに基準を策定することを目指している(2020年8月28日付地域・分析レポート参照)。なお、ドイツ食料・農業省によると、「栄養スコア」は現在、フランス、ベルギー、スイスで導入済みで、ルクセンブルク、スペイン、オランダで導入が議論されている。

(福井崇泰)

(ドイツ)

ビジネス短信 cceed7800807d56f