非常事態宣言下でも、2019/2020年度の実質経済成長率は6.1%

(エチオピア)

アディスアベバ発

2020年10月26日

エチオピアのアビィ・アハメド首相は10月19日の国民議会の答弁で、2019/2020年度(2019年7月8日~2020年7月7日)の実質経済成長率が6.1%だったと述べた。GDPは1,074億ドルを記録し、1人当たりでは初めて1,000ドルを超えた。国営通信社ENAが報じた。

エチオピアでの新型コロナウイルス感染者の初確認は3月13日で、政府は4月8日から有効な国家非常事態宣言を出していた(2020年4月13日記事参照)。外出制限こそ課さなかったが、年度末までの約3カ月は非常事態宣言の真っただ中にあり、アビィ首相も運輸や教育、観光では大きな影響があったと答弁した。それでも実質経済成長率は6.1%となり、計画段階の9%からは小幅の減少にとどまった。各部門の成長率は、農業4.3%、工業9.0%、サービス業5.3%だった。アビィ首相は、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響緩和のため、1兆ブル(約2兆8,000億円、1ブル=約2.8円)を銀行に供給して流動性を維持し、貸し出し余力を高めたと説明した。これにより実行された融資2,710億ブルのうち、1,890億ブルが民間部門に提供されたという。

エチオピアの新型コロナウイルス感染者数は累計9万490人(10月20日時点)。過去1週間では、検査数の減少とともに1日当たり感染確認者数は600人~900人程度で推移しているが、IMFは10月に発表した「世界経済見通し」(2020年10月14日記事参照)の中で、エチオピアの2020年の実質GDP成長率を1.9%になると予測しており、楽観はできない。

(関隆夫)

(エチオピア)

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