新型コロナウイルス対策で国家非常事態を宣言

(エチオピア)

アディスアベバ発

2020年04月13日

エチオピアで新型コロナウイルスの防疫強化に向けた対策が進んでいる。アビィ・アハメド首相は4月8日に国家非常事態を宣言し、10日には議会で関連法が成立した。11日にはアダネチュ・アベベ連邦司法長官が今回の非常事態宣言にかかる措置を発表した。

国家非常事態宣言法(State of Emergency Proclamation Enacted to Counter and Control the Spread of COVID-19 and Mitigate Its Impact Proclamation No.3/2020)は、宣言日の8日に遡って発効し、5カ月間有効。第3条で対象を国内全土とし、適用範囲は国籍を問わず外国人や他国に向かう途中の一時上陸者(トランジット)も対象と定めた。他法令に対する国家非常事態宣言法の優越も規定されている。

他方、第4条では、非常事態宣言法の下、憲法第1条(国家の基本統治形態:連邦制)、同18条(非人道的処遇の禁止)、同25条(平等)、同39条1項(自己防衛)および2項(言論の自由)の効力は妨げられないとした。詳細規定は、別途、閣僚評議会で決定(第5条)し、違反者には最大で懲役3年または最高20万ブル(約65万円、1ブル=約3.3円)までの罰則規定がある(第6条)。

連邦司法長官が11日に発表した細則は、国営メディア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、5人以上の集会を原則禁止し、4人が集まる場合にも2メートル以上の間隔をとる必要がある。葬儀などの重要業務は別途許可が必要。握手も禁止する。国境は閉鎖するが、貨物の移動は認めた。不動産賃貸では、貸主側による賃料値上げと借主の強制退去を禁じた。企業は、非常事態宣言の期間中、労働者の解雇や契約打ち切りができない。旅客用車両では乗車人数を定員の50%に抑える必要がある。

保健省の発表では4月12日までに国内で確認された感染者は71人。非常事態宣言を決めた8日時点では55人だった。エチオピアでは3月13日に海外からの出張者の発症で初めて陽性患者が確認された。最近はドバイから入国したエチオピア人の陽性確認が増えており、はからずも2国間の人的・経済的交流の強さを示唆している。

(関隆夫)

(エチオピア)

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