欧州医薬品業界、ジェネリック医薬品に関する要望を発表

(EU)

ブリュッセル発

2020年10月21日

欧州ジェネリック医薬品協会(Medicines for Europe)は10月20日、欧州委員会に対して19日付で書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を送付したことを発表した。同書簡において、ジェネリック医薬品業界は欧州で販売されている処方薬の67%を供給し、新型コロナウイルス感染症についても、集中治療室での治療に用いられている医薬品の7~9割がジェネリック医薬品で、治療薬の供給に貢献してきたと強調。また、「新型コロナ危機」によって、欧州および世界における安定的な医薬品の供給の確保や、ジェネリック医薬品の価格は下がっているものの、域内での生産コストは上昇している点など、長年の課題が明るみになり、医薬品の供給・備蓄リスクが高まっている、と指摘した。

ジェネリック医薬品の利用促進を求める

同協会は、将来の感染症に備えるためにも、欧州には医薬品の生産とサプライチェーンの強靭(きょうじん)化のため、投資を促進する産業政策が必要だと訴えた。さらに、2020年内に医薬品戦略を公表するとしている欧州委に対して、(1)各国の医療品の公共調達において、価格に加え、品質などを総合的に評価する方式(Most Economically Advantageous Tender)の徹底や、ジェネリック医薬品の払い戻しの見直しに関する欧州レベルでのガイドラインの策定、(2)加盟国に対して、医薬品の特許権や独占権が切れた際に、ジェネリック医薬品を直ちに利用するよう促すことや、EUの知的財産権枠組みを改定すること、などを求めた。また、医薬品全般に関して、a.医薬品規制におけるデジタル化の推進、b.医薬品生産にとって重要な技術への投資を支援すること、c.医薬品の供給やイノベーションに関する官民の協力、政策決定への企業の参画の推進、なども求めた。

欧州製薬団体連合会(EFPIA)も10月15日、保健医療費の効率性向上によって医療体制を強化することを、各国政府に提案する意見書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、ジェネリック医薬品市場の競争の促進を訴えた。ジェネリック医薬品の利用が増加すれば、医薬品関連の支出が抑えられ、新薬の開発への投資などを増やすことができ、結果として治療にかかるコストが削減されるとしている。

(滝澤祥子)

(EU)

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