世界の上半期の対内直接投資額、前年比49%減、UNCTAD発表

(世界)

国際経済課

2020年10月28日

国連貿易開発会議(UNCTAD)が10月27日に発表した「投資トレンドモニターPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」によると、2020年上半期(1~6月期)の世界の対内直接投資額(国際収支ベース、ネット、フロー)は3,990億ドル(注1)で、前年(注2)と比較して49%減少した。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが投資の減少に大きく影響した。UNCTADは、世界各地のロックダウンにより企業は既存投資プロジェクトの遅延や、資金確保のための投資延期を余儀なくされた、と指摘した。

国・地域別では、先進国・地域向けの直接投資が75%減の980億ドルと大きく落ち込んだ。このうち欧州がマイナス70億ドルとなった。大規模な株式資本の引き上げなどによるオランダ(マイナス860億ドル)の落ち込みなどが影響した。この他、米国が61%減の510億ドルとなった。

一方で、新興途上国・地域向けの直接投資は16%減の2,960億ドルで、先進国・地域と比べると減少幅が小さかった。アフリカの28%減、中南米の25%減に対して、アジア新興途上国・地域は12%減にとどまった。東アジアでのパンデミック封じ込めが他地域に比べて成功したことが投資活動の継続に反映されたと分析した。2019年に低い水準を記録した香港が増加したほか、中国が比較的回復力があるとした。情報サービスや電子商取引分野のM&Aにより、中国は予想よりも落ち込みが小さかった。また、政府による投資促進策も投資活動の安定化に寄与したと評価した。

2020年通年の世界の対内直接投資額見通しは、6月発表(2020年6月19日記事参照)の前年比30~40%減に沿っているとしながらも、依然として不確実性に満ちていると言及。一部の先進国・地域ではパンデミックの第2波が発生し、通常の状態に戻る努力が損なわれているとし、2020年上半期同様、50%に近い減少幅が続く可能性を指摘した。

(注1)カリブ地域の金融センターを除く。

(注2)比較対象は2019年の6カ月分。

(朝倉啓介)

(世界)

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