米政府、「ワッセナー・アレンジメント」2019年総会での合意に基づき、輸出管理規則を一部改定

(米国)

ニューヨーク発

2020年10月08日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月5日、ワッセナー・アレンジメント(WA)の2019年総会で合意された内容に基づき、米国輸出管理規則(EAR)の内容を一部改定すると官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表した。最近開発された、または開発中の6つの技術を管理対象に加える。新規則は同日から有効となっている。

WAとは、通常兵器や関連汎用(はんよう)品・技術の過度の蓄積を防止することで、国際社会の安全への寄与を目的とする国際的な輸出管理枠組みで、現在は米国を含む42の国・地域が参加している。WAの年次総会での合意事項について、加盟国は可及的速やかに国内規則に反映することが求められる。BISは今回、2019年12月に開催されたWAの第25回総会での合意内容外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに関して、その一部をEARで管理している規制品目リスト(CCL)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに反映した。

今回の規則改定の主要なポイントは、WAで特定した、最近開発されたもしくは開発中の6つの技術を新たな輸出管理対象に加えた点にある。BISは今回の改定は、米国の安全保障にとって必要不可欠である「新興技術(emerging technologies)」を特定する2018年輸出管理改革法(ECRA)の趣旨に沿ったものとしている。6つの技術と、該当する輸出管理分類番号(ECCN)は次のとおり。

  1. ハイブリッド積層造形(AM)/コンピュータ数値制御(CNC)装置:2B001
  2. 極端紫外線(EUV)マスクを生成するためのリソグラフィ・ソフトウエア:3D003
  3. 5ナノメートルのウエハーを製造するための技術:3E004(新たにCCLへ追加)
  4. デジタル・フォレンジック装置(コンピュータの管理権限を迂回してローデータを抽出できるもの):5A004.b
  5. ハンドオーバー・インターフェース経由で通信サービス・プロバイダーから取得された通信記録およびメタデータを監視・分析するソフトウエア:5D001.e
  6. サブオービタルの飛行体:9A004.h、9A515.a

BISは、これら6つの技術は米国の国家安全保障に重要なため、WAでの合意内容を早期に実施に移したとしている。2019年のWAで合意した残りの部分については、別途規則を発表するとしている。

なお、BISは、2020年9月にはWAの2018年総会で合意された内容に基づき、EARの内容を一部改定していた(2020年9月17日記事参照)。

(磯部真一)

(米国)

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