米政府、「ワッセナー・アレンジメント」での合意に基づき、輸出管理規則を一部改訂

(米国)

ニューヨーク発

2020年09月17日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は9月11日、ワッセナー・アレンジメント(WA)の2018年総会で合意された内容に基づき、米国輸出管理規則(EAR)の内容を一部改訂すると官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表した。新規則は同日から有効となっている。

WAとは、通常兵器や関連汎用(はんよう)品・技術の過度の蓄積を防止することで、国際社会の安全に寄与することを目的とする国際的な輸出管理枠組みで、現在は米国を含む42の国・地域が参画している。WAの年次総会での合意事項については、加盟国は可及的速やかに国内規則に反映することが求められる。BISは2018年12月に開催されたWAの第24回総会での合意内容外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに関して、2019年5月にその一部をEARで管理している規制品目リスト(CCL)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに反映していたが(注1)、今回はその残りの部分を反映した。

CCLは輸出管理すべき製品を0~9で分類される10のカテゴリーに分けている(注2)。今回の変更の主要な点は、(1)CCLのカテゴリーのうち、4以外において国家安全保障(NS)規制の指定をしている計28の輸出管理分類番号(ECCN)を改訂、(2)カテゴリー6(センサー・レーザー)に新たなECCNとして6B002(マスクおよびレチクル)を追加の2点が挙げられる。また、CCLの改訂に伴い、EARの条文の一部を改訂するとともに、許可例外も一部変更している。

(1)に関しては、近年の技術の発展を受けて、ECCNで管理している製品(物品、技術、ソフトウエア)の定義の一部を改訂するものが主となる。(2)も同様で、今回新たに6B002として、既存のECCNの6A002.a.1.bか6A002.a.1.dで指定されている光学センサーのために設計されたマスク・レチクルを管理対象に加えている。

(注1)米国の安全保障に不可欠とされる以下の新興技術5件をCCLに追加。(1)マイクロ波トランジスタ(広帯域用半導体の主要部品で、CCL上のECCNで3A001に分類)、(2)電磁波対策ソフトウエア(ECCN:3D005を新規創設)、(3)ポスト量子暗号技術(ECCN:5A002)、(4)水中聴音器機として機能する水中変換機(ECCN:6A001)、(5)宇宙空間用の飛翔体の打ち上げ用の飛行プラットフォーム(ECCN:9A004)。詳細は官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)0:核物質、核施設・装置およびその他、1:材料、化学物質、細菌および毒素、2:材料加工、3:エレクトロニクス、4:コンピュータ、5:通信・情報セキュリティ、6:センサー・レーザー、7:航法・航空電子、8:海洋関連、9:航空宇宙・推進。

(磯部真一)

(米国)

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