「カジュアル日本食」が台頭、ジェトロが外食分野のウェビナー開催

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年10月15日

ロシアでは近年、日本食のトレンドに変化がみられ、ラーメンをはじめとする「カジュアル」フードが台頭してきている。ジェトロはオンラインセミナーを開催し、ロシアにおける外食事情や現地の日本食レストラン運営に関わる実務を解説した(10月2日)。

ジェトロ・モスクワ事務所の梅津哲也所長によると、ロシアでは新型コロナウイルス感染症対策の一環で3月に店舗営業を制限する措置が導入されたため、外食産業の売上高は前年同期比で半減した。6月に営業再開が許可されたが、外食ビジネスでは消毒液やマスクの調達など衛生基準の順守が足かせになっている。近年のロシア外食産業のトレンドとして、高級ハンバーガーやフードコートの流行が挙げられる。日本食もすしや刺身などの伝統的な料理のみならず、カレーやラーメンなどの「カジュアル」フードが広まりつつあると紹介した(詳細は地域・分析レポート特集「ロシアでの日本食ビジネスの新たな潮流」を参照)。

ジェトロ・サンクトペテルブルク事務所の一瀬友太所長によると、サンクトペテルブルクの外食産業では、ファストフードが約3割を占める。市内で新規開店した飲食店の客単価をみると、1,000ルーブル(約1,400円、1ルーブル=約1.4円)未満の店舗が増加傾向にあり、2019年時点では全体の7割を占めるまでになった。サンクトペテルブルクの日本食レストランに共通してみられる特徴は、a.多彩なメニューの提供、b.原材料・素材の現地調達、c.年齢の若い層の誘致の3点が挙げられると述べた。

サンクトペテルブルクでラーメン店を経営するMTC Japanの鬼島一彦取締役は、ロシアにおける外食産業の魅力や自身の経験を基にしたレストラン経営実務を説明。ロシアでは人件費が比較的安価なため、原材料費を抑えられればFLコスト(注)を圧縮でき、利益率を高くすることができる点が魅力だと強調した。

ジェトロお客様サポート部の奥本量夫主査は、ジェトロが実施する「新輸出大国コンソーシアム」(海外展開に関心を持つ中堅・中小企業を対象とする支援サービス)について説明し、ロシアへの進出を検討している日本企業に対して同サービスの活用を呼び掛けた。

(注)原材料費(Food)と人件費(Labor)の合計金額を指す。

(宮下恵輔)

(ロシア)

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