シンガポールと香港、隔離なしの相互一般渡航で基本合意
(シンガポール、香港)
シンガポール発
2020年10月22日
シンガポール運輸省は10月15日、香港との間で、隔離なしで相互一般渡航を可能にする「トラベルバブル」設置で基本合意したと発表した。シンガポールがトラベルバブルを設置するのは初めて。トラベルバブルの開始日と具体的な運用内容は、近く発表する予定。
トラベルバブルの設置は、10月14日にシンガポールのオン・イエクン運輸相と香港商務・経済発展局の邱騰華(エドワード・ヤウ)局長の間で行われたテレビ会議で基本合意された。両国・地域の合意によると、トラベルバブルでは、渡航目的に制限がない。渡航者は両国・地域が認定するPCR検査を受ける必要があるが、渡航後の隔離や、事前の行動計画の提出が必要ない。トラベルバブルに基づく渡航者は、専用の航空便を利用する。同航空便は、トラベルバブルの乗客のみを乗せ、その他の乗客が乗ることは認められないとしている。さらに、両国・地域の感染状況に応じて、専用航空便の便数を増減、あるいは停止する可能性もあるとしている。
オン運輸相は発表の中で、香港との間でトラベルバブルを設置する理由について、「両都市は共に新型コロナウイルスの感染者が少なく、厳しい感染予防対策を導入している」と説明した。その上で、今回の一般渡航再開が「航空旅行の再開に向けた大きな前進で、その他の世界の地域との将来的な協力のモデルになる」と期待を示した。
同運輸相は10月6日の国会演説で、チャンギ空港が、地域を結ぶ航空ハブとしての地位を回復するためにも、トラベルバブルの設置を含め、各国と協議をしていく方針を示していた(2020年10月14日記事参照)。シンガポール保健省によると、同国で10月15日に新規に確認された新型コロナウイルスの感染者は3人(うち、2人が海外からの渡航者)と、国内での新規感染者はそれまでの1週間で、1日当たり平均1人を下回るところまで減少している。
(本田智津絵)
(シンガポール、香港)
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